【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】一番身近にいる、愛する人が徐々に変わっていくことが怖い!『バーン・クルア 凶愛の家』
TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。 【全ての画像】『バーン・クルア 凶愛の家』『ラブ・アクチュアリー 4Kデジタルリマスター』
いくつかの実話をミックスしたストーリーだからこそ怖い
今回も埋もれちゃいけない作品を紹介しますが、ひとつは旧作。珍しいでしょ? とりあえず新作から。タイのホラー映画『バーン・クルア 凶愛の家』です。 夫と7歳の娘と3人で暮らしているニンは、コンドミニアムを元医師のラトリーに貸し出すことにして、自分たちは別のマンションに引っ越すことを決めます。ところが、新居に移ってからというもの、夫が奇妙な行動をし始めます。夜中、突然ぶつぶつと独り言を言い始めたり、夢遊病のように屋上に行ってしまったり……。 不安になったニンは、新居に問題があるのではないかと疑いますが、特に何もなく。そんなとき、夫の体に見覚えのあるタトゥーがあることに気づきます。それはラトリーの娘が入れているものと同じでした。実はラトリーはあるカルト集団のメンバーで、ニンの夫はある見返りと引き換えにメンバー入りしており……。 家系のホラー映画ながら、幽霊の話ではなく“ヒトコワ”なストーリーです。まず怖いのが、ニンの夫の変貌。一番身近にいる、愛する人が徐々に変わっていくことがどれほど怖いか。原因が分かったところで気味が悪いですし、元の夫に戻すために何をすればいいのか、というニンの行動にもつながっていきます。 また、タイという舞台もそれにぴったり。タイのホラー映画は、かつて『the EYE〈アイ〉』を筆頭にちょっとしたブームになりましたが、あのときも感じた独特の湿度がこの映画を取り巻いているんです。この感覚は他の国のホラーにはあまり見られないですよね。 しかもこれ、いくつかの実話をミックスしたストーリー。だからこそ怖い。暴走したカルト集団の話かと思いきや、それに関わる人々が全て心に傷を負っているということが明らかになっていく構成がお見事。そういう人たちだからこそなんですが、一見みんなまともなんですよ……。それが一番怖い。