戦争を経て過去には反発も…“皇室外交”で取り戻した“特別な関係”両陛下訪英
イギリスを訪問中の天皇皇后両陛下が、国賓として公式行事に臨まれています。 ■ロンドン沿道に多くの市民 ウィリアム皇太子が、宿泊先のホテルに両陛下を迎えに行き、一緒に歓迎式典会場に向かわれました。 両陛下のパレードが行われる『ザ・マル』。開始の4時間ほど前、信号のクレーンで釣り上げられ、撤去されていました。両陛下を迎える詰めの準備が進められます。バッキンガム宮殿前には、すでにパレードを一目見ようと、日本人に限らず、多くの人々が集まっていました。 イギリスご訪問4日目の天皇皇后両陛下。この日が初めての公式行事です。体調を考慮し、休養していた雅子さまが、お姿を見せるのは初日以来です。 日本時間25日午後8時半ごろ。市内の2カ所で、それぞれ41発の礼砲が放たれました。 そして、天皇陛下は、チャールズ国王とともに馬車に乗り込まれました。雅子さまは、カミラ王妃とともに、一路、バッキンガム宮殿へ。雅子さまは、マスクをされています。イギリス側は「馬アレルギーのためマスク着用」と説明しているそうです。 両国の国旗に彩られた大通り『ザ・マル』。バッキンガム宮殿へ1キロの道のりです。陛下は、大きな歓声に笑顔で手を振り、バッキンガム宮殿に向かわれました。 当初、2020年に予定されていた公式訪問。しかし、コロナ禍で延期となり、招待してくれたエリザベス女王は、その後、亡くなりました。天皇陛下は、出発前の会見で「御存命中にうかがえなかったことが心残り」と語られています。
■天皇訪問 過去には反発も
155年に及ぶ交流の歴史を持つ日英のロイヤルファミリー。天皇皇后が国賓としてイギリスに迎えられるのは、3回目です。 昭和天皇と香淳皇后が訪問された1971年。 イギリス王室が、最大限の歓迎をするなか、ある事件が起きます。男性が、馬車に向けて、コートを投げつけました。 日本は、イギリスに対して暗い歴史を背負っています。 第2次世界大戦で戦火を交えた両国。旧日本軍は、捕虜にしたイギリス兵に強制労働をさせていました。命を落とした兵士も少なくありません。 戦後50年が過ぎた1998年。いまの上皇ご夫妻が、天皇・皇后として訪問されました。王室は、最上級の歓迎をしましたが、国民は歓迎ムード一色ではありませんでした。 パレードの車列に背を向ける元捕虜たち。 その後、エリザベス女王の主催で行われた晩餐会。 天皇陛下(当時):「戦争により人々の受けた傷を思うとき、深い心の痛みを覚えますが、この度の訪問に当たっても、私どもは、こうしたことを心にとどめ、滞在の日々を過ごしたいと思っています」