サンダルウッドのスーパー・スターヤシュがとにかく強い!ギャングスターが無双するインド映画「K.G.F: CHAPTER 1」
近年、世界の映画界で大きな力を持ちつつあるインド映画。映画産業が盛んで、2022年に公開された「RRR」では日本でも大ヒットとなった。 【写真を見る】「K.G.F: CHAPTER 1」の魅力とは? その「RRR」を抜き、インド国内で興収No.1、世界興行収入でも上回る快挙を成し遂げたのが「K.G.F」シリーズだ。 同作品はCHAPTER 1と2で前後編となっており、「K.G.F:CHAPTER 2」が大ヒットを呼んでいる。世界中で一大ムーブメントを引き起こした作品の原点となっているのが、12月にムービープラスで放送される「K.G.F:CHAPTER 1」だ。 南インドで発見された金鉱をめぐって繰り広げられるマフィアたちの死闘を描いている物語。主人公は、スラム街で生まれたロッキー(ヤシュ)。母親は、ロッキーが10歳の時に病に倒れ、「支配者でありなさい」との言葉を残して亡くなる。 ロッキーはその言葉を守るように裏社会に足を踏み入れると、圧倒的な強さでのし上がっていく。やがて彼の名前が知れ渡るようになると、ボスから、金脈で巨万の富を得ているKGFの実質的な支配者であるスーリヤワルダンの息子ガルダ(ラーマチャンドラ・ラージュ)を暗殺するよう命じられるのだった。 物語の絶対的な基盤となっているのがロッキーの圧倒的な強さだ。元々はただの貧乏少年だった彼がなぜこれほど強くなったのかと考えるのは全くナンセンス。相手が1人だろうと、1000人だろうと劣勢になることさえなく蹴散らしていく姿は痛快そのもの。主人公が"無双"するという点で「ジョン・ウィック」シリーズに例えられることも多いが、むしろその描き方はアニメやマンガにすら近い。ロッキーの「俺はもう死んでいる」という言葉からもどこか「北斗の拳」を思わせる。 大胆な髭と暴力性は日本人としては一瞬抵抗を感じないでもないが、ロッキーはただ恐怖を与えるだけの存在ではない。苦労人ゆえ他人の痛みも理解できるロッキーは時に息子を抱える母親のためにパンを拾い、「この世界のどこにも母親より屈強な戦士はいない」と語る。見た目はワイルドすぎるゆえ怖さもあるが、ロッキーを演じたヤシュのまっすぐな瞳を見ていると、主人公への愛着も湧いてくる。 そのロッキーの相手役となるヒロイン、リナ・デサイ(シュリーニディ・シェッティ)も魅力的だ。ロッキーの良さはじわりじわりと物語を通じて伝わってくるのに対し、誰が見ても美しいと感じるシュリーニディ・シェッティの美貌は作品に華を添える。「私を口説く値打ちはない」と高慢な態度を見せるのも納得の美麗さで、そんな彼女がどうロッキーに興味を示していくことになるのかも注目だ。 もちろん、インド映画らしさもふんだんに盛り込まれている。音楽を使ってバトルを盛り上げる演出や、これからの展開を予感させるようなダンス・歌のシーンなど、「インド映画ってこれだよね」というこちらの期待にもしっかりと応えてくれる。 それでいて"やり過ぎて"いないのが本作の特徴。例えば、ダンスシーンでもロッキーは踊ることはなく、とにかく強いギャングスターというイメージが損なわれることはない。あくまでもロッキーの魅力を際立たせるための演出のひとつとなっている印象で、インド映画初心者にとっても見やすくなるような工夫が施されている。 マフィアであることを考えると、ロッキーはヒーローというよりダークヒーローと認識するほうが正しいのかもしれない。正義の悪党はどのようにして母との約束を守ることになるのか。強さと優しさを兼ね備えるロッキーの原点として「K.G.F: CHAPTER 1」を見逃すことはできない。 文=まっつ
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