『エイリアン:ロムルス』シンプルで骨太な原点回帰、監督フェデ・アルバレスの演出力
巨匠リドリー・スコット監督による『エイリアン』(1979)から45年。SFホラー映画の金字塔、『エイリアン』シリーズが現代に蘇った。最新作『エイリアン:ロムルス』は、シリーズ第1作の“その後”を描いた原点回帰にして、あらゆる要素を一新した新機軸だ。 創造主であるスコットをはじめ、ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、ジャン=ピエール・ジュネと、そうそうたる顔ぶれが監督を務めてきたシリーズに、新たな監督として起用されたのは『ドント・ブリーズ』(2016)のフェデ・アルバレス。「もしも過去作を観たことがないのなら、本作はその最初の1本となる素晴らしい機会だ」と豪語し、シリーズの初心者でも楽しめる間口の広さとクオリティの高さを保証した。 その言葉通り、本作はアメリカで公開されるや有名レビューサイト「Rotten Tomatoes」で批評家スコア81%・観客スコア86%を獲得(スタート時点)。『エイリアン』と『エイリアン2』(1986)に続き、シリーズでも屈指の高評価を受けている。 『エイリアンvsプレデター』シリーズや、スコットが手がけた前日譚『プロメテウス』(2012)『エイリアン:コヴェナント』(2017)など、一時は紆余曲折を経たフランチャイズを、鬼才アルバレスはいかにして復活させたのか。
『エイリアン』の新たな物語
西暦2142年、人類は宇宙まで活動圏を広げていた。人命が軽視される劣悪な環境、ジャクソン星採掘植民地にて働く女性・レインは、“姉弟”としての絆で結ばれているアンドロイドのアンディとともに遠い惑星へ旅立つことを夢見ている。ところが、移動許可はなかなか下りないままだ。 ある日、レインの元恋人であるタイラーが、とある計画を提案した。上空を漂流している宇宙ステーションを乗っ取り、船と設備を使えば、移動許可の問題を無視して旅立つことができるというのだ。頼みの綱は、船のセキュリティを突破できるアンディ。レインとアンディ、タイラーと妹のケイ、労働者のビヨンと恋人のナヴァロは、チームを組んで行動を開始する。 一同は廃墟同然となった宇宙ステーションを復旧するが、現状の燃料では遠くの惑星まで向かうことができない。代替案として、貯蔵庫に保管されていた冷凍燃料を追加しようと考えるが、同じく冷凍保存されていた“何か”をひょんなことから呼び覚ましてしまう。