インテルが新チップ「Core Ultra 200V」を発表。スナドラに対して存在感を保てるか
AI推しは控えめ。「NPUはあって当たり前」的なスタンス
IntelはCore Ultra 2のAI系処理に関して、Blenderでのノイズ除去では先代のCore Ultra 7 155Hより20%高速になったとし、さらに特定のアプリでのAIによるアップスケーリング等でははるかに上回る性能だとしています。ただ、Intelがこの比較をするツールとしてBlenderを選んだのは、SnapdragonではエミュレーションしないとBlenderを動かせないから、かもしれません。 現在の状況は、去年12月にIntelのCEO、Pat Gelsinger氏がNPUのすばらしさをステージで語ったときとは変わってきています。今のIntelは第13世代・第14世代チップの問題に悩まされていますが、Core Ultra 2では同じまちがいを繰り返さないと誓っています。 Intelクライアントコンピューティンググループのバイスプレジデント・Robert Hallock氏は発表の中で、NPUの強力さをアピールしつつも、現状をかつての統合GPUの状況になぞらえました。以前は統合GPUは「バカにされた」ものですが、現在ではCPU処理を支える一環として認められています。つまりNPUはもはや特別な存在ではなく、CPU、GPUに次ぐモバイルチップの柱のひとつなのだという考え方です。 Hallock氏はまた、TOPSはニューラルプロセッシング能力の指標としてはふさわしくないとも付け加えました。TOPSはスピードや精度といったわずかな変数から導き出される単純な指標に過ぎず、これはコンピューティングの専門家やジャーナリストがここ1年指摘してきたことでもあります。 それから、NPUはAI PCがもたらしたわけじゃなく、同じようなプロセッサがスマホでは数年前から存在していることも意識したほうがいいです。Intelは20年前とかにGPU統合チップを作ったときも、新たな名前を付けたりはしませんでした。Hallock氏はNPUが騒がれすぎだとまでは言わないものの、発表の質疑応答の中で、AI専用の処理系統を作ったのは「自然な流れ」だったと言っていました。 Core Ultra 2のGPUはAIタスクのためにだけ作られたわけじゃありませんが、処理能力は67TOPSで、NPUの48TOPSを大きく上回ります。結局NPUが担うのはライトなAIアシスタントのタスクで、コーディングやグラフィックスといった生成AIタスクではないんです。 実際、重めのタスクではGPUとCPUが重要なようです。 Intelの新チップのデモでは画像生成AI Stable Diffusionを動かしていましたが、その中でもNPUよりGPUのほうが活躍していました。動画編集アプリ Adobe Premiereでの動画の分割タスクには、NPUよりCPUのほうがよく使われていました。