不可能を可能にする「100%習慣にできる人」の考え方
昨年は「新NISA&『オルカン』投資」が話題となった。だが、まだ投資をやったことがない人や、投資を始めても次の一手がわからない人も多いかもしれない。そんな中、世界600万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルとゴールドマン・サックスCEOが絶賛する全米ベストセラーが話題となっている。世界的ベストセラー『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出されたニューヨーク大学スターン経営大学院教授スコット・ギャロウェイの『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』だ。9社を起業した連続起業家でもあり、日本で「GAFA」という言葉を定着させた全米屈指の人気教授が明かす「世界最先端の“お金と人生”の戦略」とは? 本書から抜粋・編集してお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。 ● ブログを書き続けられた理由 2016年後半のある木曜の夜、私は初めてブログの記事を書いた。 当時、私にとって最新のスタートアップだったL2社のチームは、自分たちのビジネスを宣伝する良い方法はないか思案していた。 そして、すでに一般的になってから20年も経っていた「ブログ」という画期的なアイデアを思いついた。 日々の仕事を通して大量に文章を書いていた私は(投資家への手紙、顧客への売り込み等)、面白い切り口や特色のある文章を目指した。 とはいえ最初は、自分のことをライターだとは思っていなかったし、毎週きちんと予定どおりのことができるタイプの人間とも思ってはいなかった。 私はどちらかというと、「思いついたらやる」タイプだからだ。 ともかく、最初の記事を書いた。 内容は、マーク・ザッカーバーグを批判し、シリコンバレーのCEOたちのデートの習慣を揶揄する単純なものだった。 チームが図やチャートを加えてくれた。 私たちはこれを「No Mercy/No Malice」(情けは無用、悪意なし)と名づけ、数千人の顧客リストにメールで送った。 すると好意的な反応も返ってきた。 そして毎週、また木曜がやってきた。 つまり、私は新しい記事を書かなければならなかった。 徐々に新鮮味が薄れ、ブログの執筆が「やらなければならない仕事」のように感じられた。 それでも書き続け、記事を送信した。 翌週、再び木曜になり、記事を書いた。 3回目の木曜夜の私の気分は、「日々、自己嫌悪の感覚が減ってきた」という記事のタイトルから察せられる。 最初の頃のワクワクした感覚はなくなっていった。 だが、週を追うごとにブログへの注目や価値が高まり、まともな内容のものを発表できるようになると、やりがいが増してきた。 私の脳は、執筆行為を、記事の読者が反応してくれたときに得られる満足感と結びつけた。 ● 習慣がアイデンティティになる瞬間 すると、木曜夜は私にとって「きっかけ」(キュー)になった。 執筆そのものはラクではなかったが、コンピュータの前に座って最初の一文を書き始めることが習慣になったのだ。 それから1年がすぎ、2年がすぎた。 私は締切を守り、安定した質の記事を書けるようになっていた。 習慣は、私のアイデンティティになった。 私はいつのまにかライターになっていた。 現在、「No Mercy/No Malice」の記事は当初に比べてボリュームが増え、分析的になり、より良いものになった。 毎週50万人以上に送信され、2022年には優れたネット記事に贈られるウェビー賞を受賞している。 このブログは、「他人の力を借りなければ、偉大な何かは実現できない」という私の重要な信条を活用して制作されている。 私が代表を務めるProf G Media社には、「No Mercy/No Malice」を含む、私たちが管理するあらゆるチャネルに対応するチームがある。 それでも、毎週木曜の夜、私は愛犬たちのそばで、ラム酒のロン・サカパを飲みながら執筆している。私はライターだからだ。 ● 不可能を可能にしたような本 私にとって5冊目の著書となる本書は、それまでの自分にとっての不可能を可能にしたような本だ。 今回は、初経験のことばかりだった。 これまでの著書とは違い、自分で企画を考え、執筆し、編集し、出版したからだ。 それまでの私なら、概要を書くことも、それを出版エージェントに売り込むことも、週末や夜遅くまで執筆することもできなかっただろう。 たしかに、本書の企画は素晴らしいものだと自負している。 だが、それはこの企画を本にできた力の1割でしかない。 残りの9割は、毎週木曜の夜に培ってきた習慣の力のおかげだ。 「自分にとって、今すべき一番大切なことは何か?」 「今日から始めるべきことは何だろう?」 これらは、誰もが自問すべき問題だ。 前述した『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』の著者ジェームズ・クリアーもこう述べている。 「あなたのアイデンティティは、あなたの習慣から現れる」 (本稿は『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』の一部を抜粋・編集したものです)
スコット・ギャロウェイ/児島 修