【バスケ】琉球ゴールデンキングスの「Find Way」にPG牧隼利が求められる理由 3試合連続で“第4Qフル出場”
オフェンスで重視する「リズム」とは
実際、牧はコートに出ている時にハドルを呼び掛けることが多い。フォーメーションのコールのほか、オフボールでも身振り手振りや声出しで動きを指示している場面もよく見る。茨城のように速いペースのバスケを好むチームを相手にしている時は、自分たちの「リズム」を大事にしているという。 「茨城や千葉Jはペースが速いので、落ち着けるところではペースを落とさなきゃいけない。向こうのペースにかき乱されて、相手のリズムで試合が進んでいく場面がどうしてもある。そういったところで、ペースを落とすところと、上げて自分たちのペースに持っていくところというのは、出ている時に意識しています」 この日の会見では、コーチ陣との共通認識が十分に図れていることが分かる場面もあった。先に会見に姿を見せた桶谷HCが、オフェンスにおいて「ピックを一発で終わるのではなくて、我慢強くセカンドアクション、サードアクションに入る」ことを重要視していると話し、その後に会見場に入った牧が、理想のシュートセレクションについて聞かれ、異口同音にこう答えたのだ。 「一つの動きじゃなくて、動きが二つ重なった時だと思います。昨日、今日の試合でもそうでしたが、一つのピック&ロールやピック&ポップに時間をかけてしまったり、次への展開がなくオフェンスが終わったりしてしまうと厳しい。2、3個のアクションでやりたいシュートの流れをつくるプレーが求められていると思います」 オフェンスのアクションが起きやすいようなフォーメーションをコールしたり、ベンチにいる時に同じくセカンドユニットの松脇圭志や荒川颯らと「今はこういうプレーが良さそう」などと話したりして、常にコミュニケーションを図っているという。 「僕なんかには無い素晴らしい能力を持っている選手がいっぱいいるので、その分一歩引いた目で見ることが自分に求められている点だと思います。細かくハドルを組んだり、コミュニケーションを取ってどういったものをみんなが求めているのかを擦り合わせることは意識しています」と話す。 ローや今村、ダーラム、岸本など個の得点能力が高いプレーヤーが多い琉球だが、シュートセレクションが悪ければ当然得点効率は下がる。だからこそ、全体を見渡してコントロールする牧のような“バランサー”が試合中の「Find Way」には必要なのだろう。レギュラーシーズンは終盤戦に差し掛かっているが、まだ試合ごとで遂行力にムラがある琉球にとって、牧に求められる役割は今後も大きいだろう。
長嶺 真輝