新型コロナウイルス「これまで起きたこと」時系列で振り返る
■特措法が成立~WHOがパンデミック認定
2月下旬になると、それまで感染の中心だった中国だけではなく、韓国やイタリアで感染者が急増してきました。日本でも感染がじわじわと広がるにつれて、政府が「緊急事態宣言」を出して迅速で体系的な対策を遂行するべきだとの意見が見られるようになってきました。 3月には政府の「緊急事態宣言」をめぐる動きが本格化します。新しい法律制定での対応も浮上しましたが、最終的には民主党政権が2012年に成立させた新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)を改正することになりました。4日の安倍首相と野党の党首会談を経て、10日に特措法改正案が国会に提出され、13日に成立。翌14日から施行されました。これにより、政府が特措法に基づく「緊急事態宣言」を出せる環境が整いました。
この頃、外交面でも大きな動きがありました。4月に来日する予定だった中国の習近平国家主席の来日延期が3月5日に発表されたのです。その日の夕方に開かれた政府対策本部の第17回会合の場で、安倍首相は3月9日から中国全土と韓国全土からの入国規制を強化する方針を示しました。 新型コロナウイルスの流行も新たな段階に入りました。3月上旬になると、スペインやフランスなど欧州の広範囲で猛威を振るうようになり、さらにアメリカでも感染拡大がみられるようになりました。流行が世界中に広がる中で、世界保健機関(WHO)は11日(現地時間)、「パンデミック」に相当すると認定。13日には「今や欧州がパンデミックの中心地」だとの認識を示しました。
■東京五輪の1年延期~ロックダウンの懸念
7月に開幕が予定されていた東京五輪にも重大な決定が下されます。予定通りに開催できるのか、延期あるいは中止になってしまうのか、開催を危ぶむ声が湧き起こりました。 3月17日には安倍首相が主要7か国(G7)首脳とのテレビ会議で「東京五輪・パラリンピックを完全な形で実現することについてG7の支持を得た」と明らかにしました。以降、五輪開催問題が連日報じられるようになり、国際オリンピック委員会(IOC)は22日(現地時間)、それまでの予定通りに開催するとの方針を転換し、延期を検討して4週間以内に結論を出すと表明。その2日後の24日夜には、安倍首相とIOCバッハ会長らが電話会談し、急転直下で「遅くとも2021年夏までに開催する」と五輪を1年程度延期することで合意しました。 国内のスポーツイベントでは、3月11日に春のセンバツ高校野球の中止も決定しました。 安倍首相が2月29日の会見で「1、2週間が瀬戸際」との専門家会議の見解を紹介してから2週間余りが経った3月14日、首相はそれまでの取り組みの評価をしてもらうために19日に専門家会議を開く意向を示しました。 3月の3連休直前にセットされた19日の専門家会議での評価によっては、一斉休校や大規模イベント自粛要請が緩和されるのでは――。そんな期待感もあった中、専門家会議が出した見解は、9日会合での「一定程度、持ちこたえている」との見方よりも厳しく、「オーバーシュート」(爆発的な感染拡大)への危機感がにじむものとなりました。それだけではなく、オーバーシュートが起きたイタリアやスペイン、フランスなど欧州主要都市では「ロックダウン」(都市封鎖)のような強硬的な手段を取る事態になっていると警鐘を鳴らしました。