大阪「ものづくりのまち」で子供ら製造体験 創造の喜び伝承
大阪「ものづくりのまち」で子供ら製造体験 創造の喜び伝承 THE PAGE大阪
子どもたちに創造する喜びを伝える西淀川ものづくりまつりがこのほど、大阪市西淀川区の区民センターで開かれ、子どもたちがさまざまなジャンルの製造体験にチャレンジした。最新鋭の3Dプリンターが、早くも子ども向けイベントにお目見え。ゆるキャラの人形づくりにひと役買い、ものづくりのまちの底力を見せつけた。 日本のモノ作りの舞台裏 高専ロボコンに魅せられた人たち
最新鋭の3Dプリンターが登場
西淀川ものづくりまつりは今年で6回目。市内有数の工業生産力を誇る西淀川区のものづくりの実力や創造する喜びを子どもたちに伝えようと、地元の企業、行政、教育機関などが連携して開催してきた。 昨年のヒーローは、西淀川生まれで身長2メートルのバトルロボットだったが、今年の主役は3Dプリンター。抜群の立体造形力から、多様な製造現場での技術革新加速の期待を集める3Dプリンターが、早くも子ども向けイベントに登場した。 プラスチック樹脂を素材に、プリンターで西淀川区のマスコットキャラクター「に~よん」のフィギュアを製造し、子どもたちに色づけして仕上げてもらう。子どもたちは真剣な表情でフィギュアに色を塗り、完成するとうれしそうに持ち帰った。 学校でイベントのチラシを受け取った小2女児に「連れてって」とせまがれてやってきた40代の母親は、3Dプリンターにびっくり。「娘は図画工作がいちばん得意で、いつも絵を描いて遊んでいます。できれば才能を伸ばしてやりたいので、きょうは希望する限り、いろいろなものづくりを体験させてやりたい」と娘の背中を押す。 兵庫県から西淀川区に転居。「西淀川がものづくりのまちとはあまり知らなかったのですが、みなさんの熱意が伝わってきます。私自身にもとても勉強になりますね」と話していた。
子どもたちは将来のエンジニア
指で力士を振動させて勝負を争う「トントン相撲」トーナメント戦が、にぎやかに開かれた。地元の専門メーカーがステンレス材をレーザーで切り抜いて、「に~よん」型の力士を製造。平たい力士を土俵に立てるため、中央にかすかな筋目を入れ、子どもたちにも折りやすいよう工夫を凝らした。行司の名軍配で取組が進み、賞品は地元江崎グリコのお菓子だった。 西淀川区では工場跡地に集合住宅の建設が相次ぎ、新しい区民が増えつつある。トントン相撲を共同で企画した会社経営者のひとりは「新しい区民の皆さんに西淀川のもりづくりを知ってもらいたい。そのうえで、できるならば地元で働いてもらいたい」と意気込む。「このイベントでものづくりに関心をもった子どもたちが、成長してエンジニアになってくれたらありがたいですね」と長期戦で臨む。
軍手をはめて慎重に工程をこなす
文鎮やブンブンごま作りでは、工場で使用されている加工機械や工具が会場へ持ち込まれた。子どもたちは軍手をはめ、悪戦苦闘しながらも工程をひとつずつこなして仕上がりを目指す。 ようやく文鎮を手に入れた小2男児は「ハンドルを回すとき、メッチャ力を入れた。ソロバンを習っているので、文鎮があると便利」とうれしそうだった。 そのほか、LEDのとうろう、ソーラーカー、廃材アートなどの製作体験も人気があった。昨年、会場を沸かせた2メートルロボットは長崎・ハウステンボスへ旅立ち、西淀川では現在、身長4メートルの2足歩行型ロボットの開発が、佳境を迎えつつある。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)