入学者わずか3人の大学も 少子化時代の新設大学、大化けする可能性の見極め方
地域に根付いているか?
では、新設大学をどう見極めたらいいか。これは難しい。 短期大学、専門学校では学生が集まらないならば大学を作ろう、そんな安易さが感じられるところがある。教育理念や未来像について「将来の日本を担う、〇〇分野の人材を育成する」などと抽象的な表現で語るだけで、教育方針、進路指導の具体的な中身が見えない大学は注意したい。実際、地元の高校から評価されず、定員割れを続けている大学がある。一方、前身の学校が地域に根付いている、たとえば地元の幼稚園、福祉施設、病院などにネットワークを持っており、卒業生が働いているところは注目していい。 新設大学は学生自らの手で大学の歴史、文化をつくることができる。それも魅力であろう。新しいものをつくるチャレンジ精神旺盛な高校生には向いているかもしれない。新設大学はそれにしっかり応えてほしいものだ。 2025年開学をめざしている大学も複数ある(予定)。 少子化が進んでいるにもかかわらず、大学数は増えるばかりだ。大丈夫なのかと心配になってしまうが、つくるからには厳しい自覚と責任を持っていただきたい。 ■プロフィール 小林哲夫(こばやし・てつお)/1960年、神奈川県生まれ。教育ジャーナリスト。大学や教育にまつわる問題を雑誌、ウェブなどに執筆。『大学ランキング』(朝日新聞出版)編集統括。『日本の「学歴」 偏差値では見えない大学の姿』(朝日新聞出版・共著)ほか著書多数。
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