「排気音を変える」だけが目的じゃない! 最近のスポーツモデルがマフラー出口部に「蓋」を付けるワケ
スポーツカーの純正マフラーにつくバルブの役割
世界の自動車は電動化に進んでいるといっても、「やっぱりエンジンが好き」という人は多い。その理由として、エンジンの鼓動を感じることも挙げられるが、やはりエンジンサウンドが魅力の中心。そして、その主役といえばエキゾーストノート(排気音)だろう。アバルトやBMWなどは、電気自動車にもかかわらず疑似エンジンサウンドをスピーカーから流していたりするほどだ。 【画像ギャラリー】走行モードによりマフラーの可変バルブが制御されていたホンダの名車 一方で、エンジン車については騒音規制が厳しくなるトレンドが続いていることから、いつでも存分にエキゾーストノートを楽しむわけにはいかない状況になっていたりもする。そこで、昨今のスポーツカーでは、「排気系に可変バルブを設ける」という対応策が取られていることが増えている。 たとえば、2016年に発売開始となったホンダのスーパーカー「NSX」には、「アクティブ・エキゾーストバルブシステム」が採用されていた。その制御は以下のようなイメージだった。 ●QUIETモード 実質的なEV走行モード。アクティブ・エキゾーストバルブを閉じることで排気をサイレンサーに誘導、音量を抑えた排気音を実現 ●SPORTモード アクティブ・エキゾーストバルブを閉じた状態で発進し加速に応じて開きます。サイレンサーを回避する排気流量を徐々に増やすことで、リニアな排気音を演出 ●SPORT+/TRACKモード アクティブ・エキゾーストバルブを開き、計4本のエキゾーストパイプすべてを用いて最大流量を排気します。エンジン性能を引き出し、スポーティな走行にふさわしいサウンドを奏でる 同様のシステムは、現行のホンダ・ラインアップにおけるスポーツフラッグシップ「シビックタイプR」にも採用されている。こちらは、排気をストレートに抜くメインパイプにバルブが設けられ、全閉・中間・全開と3ステップで切り替えることで、ジェントルな排気音と、サーキット走行などで求められる排気流量を両立するシステムとなっている。 ホンダといえばバイクも製造しているメーカーだが、同等のシステムはスーパースポーツと呼ばれる高性能モーターサイクルにも採用される。 バイクのスポーツフラッグシップである「CBR1000RR-R FIREBLADE」では、通常はバルブを全閉することで膨張式構造のサイレンサー側に排気を導きつつ、速度やエンジン回転などの条件を満たした際にバルブを開くことでストレート構造のサイレンサーをメインで使うようになる。 ご存じのようにストレート構造のほうが排気の流れがスムースで、なおかつパイプを太くして流量を稼いでいるので、エンジン性能を引き出すのに向いているというわけだ。