“スマホ依存症”のやす子が「100時間スマホなし」の社会実験をした結果…SNSでメンタルがダメになるこれだけの理由
スマホが招くメンタル危機
番組にも登場し、「100時間スマホなし生活」のためのアドバイスを送ったのが、『スマホ脳』の著者で知られるアンデシュ・ハンセン氏だ。スマホ依存の危険を説いた同書は世界的ベストセラーとなった。 そのハンセン氏の新著『メンタル脳』(マッツ・ヴェンブラードとの共著、久山葉子訳)には、近年、特に若い世代のメンタルがスマホやSNSによってダメージを受けていると警鐘を鳴らしている。ハンセン氏の母国、スウェーデンでは、「ここ20年、不眠で受診する10代の若者が10倍に増えています」という。その大きな理由の一つが、スマホやSNSというわけだ。ハンセン氏の説は概ね以下の通りである。 ――もともと人の脳は「他人と連帯すること」、つまり、つながりを得ることに幸せを感じるようにできていた。集団生活に歓びを感じないと、外敵に立ち向かえないし、生活を維持できないからだ。孤独でいるよりも、誰かとつながっていることに快感をおぼえるようになっていることになる。 そうした脳の基本的な性質は変わっていない。しかし、一方で、技術の進歩により、必要以上に他人とつながるようになってしまった。これが深刻なメンタル危機の理由となっている――。 ハンセン氏が説く「SNSがメンタルを下げるメカニズム」を詳しく見てみよう(引用は『メンタル脳』より)。 ***
負け犬感を増すSNS
今ほど自分がダメに思える理由が多い時代はいまだかつてありません。SNSでは常に、見た目には完璧な人生を見せつけられます。友人の修整済みの写真投稿(誰だって1番素敵な自分を見せたいですし、満足した写真しかのせません。それは皆同じです)、さらには何千人というインフルエンサーのキラキラした人生が連続投下されてきて、それと自分を比べてしまいます。後ろに見えている景色からインテリア、化粧、照明まですべてプロの手を借りていると頭ではわかりつつも、です。 写真はもちろん編集されていて、ちょっとした難点くらいいくらでも隠せます。 その結果、とてもではありませんが自分には手の届かないようなレベルになっています。 自分にとっての自分(脳が見せる自分のイメージ。お世辞にもイケてるとは言えません)と他の人(彼らが見せたい素敵なイメージ)を比べたら、いつだって自分が負け犬、もう本当に完敗です。 そして私たちの多くが、起きているほとんどの時間スマホを手にしているため、常に自分よりもかっこよく、賢く、リッチな人気者がいることを思い知らされることになります。 その影響で、私たちはヒエラルキーの下へ下へと落ちていき、グループから追い出されるリスクが高まったように感じるのです。それを脳は何よりも恐れているはずなのに。 とはいえ「人間はこれまでもずっと自分を他人と比較してきたのでは?」と思うかもしれません。それはそうなのですが、昔はグループも小さくてぱっと見渡せるくらいのサイズでした。ところが現代の私たちは世界中の人と競っているのです。