ゼンリンが長崎での事業拡大 地域共創の拠点に 地図データで貢献
地図大手ゼンリン(北九州市)が県内での事業を拡大している。長崎市内の営業所と研究開発拠点を統合し、長崎スタジアムシティ(同市幸町)のオフィス棟に10月、長崎支店を開設。同社が掲げる自治体や地場企業との連携による「地域共創型ビジネス」の拠点と位置付ける。 古賀寛人九州支社長兼長崎支店ゼネラルマネージャーは「長崎で事業化したビジネスモデルを全国に発信していきたい」と意気込みを語る。 支店は営業所と研究開発拠点の統合だけでなく、新たにマーケティング機能を担う企画開発担当者を配置し、地域とのリレーションを築く渉外機能も持たせた。県内初出店となる「Map Design GALLERY」も併設し、人員は約30人で営業所に比べ約1・5倍になった。 同社は2020年4月に産学官連携の研究や新規事業開発の拠点「長崎R&Dブランチ」を開設、21~23年にかけて長崎、佐世保、大村3市と包括連携協定を結んだ。さらにアプリやウェブで長崎観光サービス「STLOCAL」(ストローカル)を提供し、周遊型観光を促進。交流人口拡大による地域活性化に取り組んでいる。 「Map Design GALLERY」は地図をデザインした文具や雑貨約千点を取り扱う。県内各地の地図をデザインしたバッグや文具、サッカーJ2、V・ファーレン長崎、バスケットボールB1の長崎ヴェルカとコラボした商品なども販売している。 【インタビュー】ゼンリン九州支社長・古賀寛人氏 地図データで地域貢献 〈県内で事業拡大を図るゼンリン。長崎支店ゼネラルマネージャーを兼務する古賀寛人九州支社長に支店開設の狙いなどを聞いた〉 -長崎で事業を拡大している。 長崎市は「100年に一度の変革期」と言われているだけあって活気がある。1カ月の半分は長崎に滞在し、経済団体の会合などにも出ている。さまざまな業界の経営者が良好な関係で「地域を良くしよう」「課題解決に取り組もう」という意志を感じる。私たちの強みである地図データベースは長崎の豊富な観光資源と相性がいい。交流人口の拡大などに貢献できる。 -長崎スタジアムシティにオフィスを構えた。 開発したジャパネットホールディングス(佐世保市)がコンセプトに掲げている地域創生は、私たちが取り組む地域共創型ビジネスにも通じる。同じオフィス棟に長崎大の情報系大学院のサテライトキャンパスが入っていることも魅力。支店には営業だけでなく研究や事業開発の機能もあり、今後、連携や優秀な人材の採用にもつなげられる可能性がある。 -交通と観光を組み合わせた取り組みとして観光サービス「STLOCAL」(ストローカル)を県内で提供している。 地図データベースと地域の情報を組み合わせた新たな価値創造の一つ。これからも地域のニーズに応えるため、地場企業の皆さんと連携し、より大きなソリューションを提供したい。 -今後どんな分野での展開があり得るか。 自動運転やライドシェアは人手不足が深刻な地域の交通に貢献できる。防災・減災、さらに災害時の迅速な地図データ提供などでもお役に立てると考える。企業である以上、収益性は重要。地域への貢献と両立できる長崎モデルを確立し、全国に展開できるよう力を尽くしたい。