モータースポーツはこのまま全開!音楽活動は1回リセットして次の挑戦へ! 近藤真彦、還暦直前インタビュー【後編】
■芸能活動とレース活動の両立はまったく問題ありません ――近藤さんは2024年シーズン、JRPの会長を務め、KONDO RACINGのチーム監督としてSFとスーパーGTのふたつのカテゴリーに参戦しています。さらに今年は還暦ということで、コンサートツアーも精力的に行っています。 近藤 今年の7月に60歳です。自分が還暦なんて信じられないですが、節目の年なので、全国60ヵ所のコンサートツアーの真っ最中です。忙しいけれども、いったん身体にリズムができてしまえば、コンサートとレース活動の両立はまったく問題ありません。それに同世代の経営者の方はバリバリと仕事をされているので、僕も負けられません。 ツアーの最後は60歳の誕生日、7月19日に日本武道館でコンサートをします。そこでツアーは一回締めて、61歳からの芸能活動は一度まっさらなところに戻して、どうやっていこうかなと考えています。 モータースポーツ活動はこのまま全開で行きますが、音楽活動に関してはおじさんのロックグループをやるのか、今はどんな形になるのかわかりません。ただ、せっかくここまで音楽をやり続けてきたので、いろいろと挑戦してみたいです。 ――近藤さんが2000年に立ち上げたKONDO RACINGも来年でチーム結成25年です。 近藤 うちのチームは若いんだからといつまでも言ってられませんね。でも振り返ってみると、2000年にスタートして最初の10年間はピンチの連続でした。鈴鹿でレースがあったときは近鉄(近畿日本鉄道)の白子駅から何回、悔し涙を流して帰ったかなあ......。やっぱり最初は、日本のモータースポーツ界はKONDO RACINGが参戦することを歓迎していませんでしたから。 芸能人が冷やかすだけ冷やかして、どうせすぐにいなくなるんでしょう、という感じで受け取られていました。レース界はいろんな意味で入口が狭いんです。それを僕はわかっていますし、身をもって経験してきたので、JRPの会長になった今、少しでも間口を広げてあげたいと思っているんです。 ――近藤さんは"よそ者"だったからこそ、そういう視点を持てたのではないですか。 近藤 そうかもしれません。メディアの世界でもレースとは無縁の芸能レポーターやテレビの人たちが入ってくると、少し斜めに見てしまうところがあるじゃないですか。それはやめようと、メディアもみんなで盛り上げるようにしようと僕は思っています。 モータースポーツはファンあってのものです。スタンドにお客さんがたくさんいると、チーム、ドライバー、運営、サーキットのみんながエネルギーをもらえて元気になります。そうするとチームもドライバーもいい仕事をして、レースが面白くなります。 レースが面白くなると、さらにお客さんやスポンサーが増えて......いい相乗効果になっていくんです。ちょっとずつですが、SFはいい方向に転がり始めたと思いますので、今年のレースには期待してください! ●近藤真彦(こんどう・まさひこ) 1964年7月19日生まれ。79年にTVドラマ『3年B組金八先生』で芸能界デビューし、以降は俳優・歌手として大活躍する。レーサーとしては84年に富士のフレッシュマンレースでデビュー。その後は全日本F3選手権を皮切りに、トップカテゴリーの全日本GT選手権やスーパーフォーミュラ(SF)の前身、全日本F3000やフォーミュラ・ニッポンにも参戦。94年には全日本GT選手権でポール・トゥ・ウインを達成する。また世界3大レースのひとつ、フランスのル・マン24時間耐久レースにも出場。2000年にレーシングチーム「KONDO RACING」を設立。現在はチームオーナー兼監督として国内最高峰のSFとスーパーGTに参戦中。昨年の4月にSFを運営する日本レースプロモーションの会長に就任。モータースポーツ活動と並行して現在は全国ツアー「KANREKI DASH M5K9 LIVE TOUR 2023-2024」を開催中。 取材・文/川原田 剛 撮影/樋口 涼(近藤氏) 写真/JRP