効果的な栽培、管理学ぶ かんきつ類現地検討会 奄美大島
JAあまみ大島事業本部生産部会連絡協議会果樹専門部会(大海昌平部会長)は19日、かんきつ類の新品種として鹿児島県奄美大島で導入が進む「津之輝(つのかがやき)」とタンカンの現地検討会を奄美市と大和村で開いた。視察先の園主と県大島支庁農政普及課の担当者は、連携して取り組む実証試験による収量の変化などについて解説。参加者は効果的な栽培方法や適期管理などに理解を深めた。 検討会は津之輝、タンカンの収量増に向けた工夫や取り組みの情報共有などが目的。生産者や行政関係者ら約100人が参加し、奄美市住用町と同市名瀬、大和村の4ほ場を視察した。 同市住用町の元井農園では、県大島支庁農政普及課の松尾至身(てつみ)技術主幹兼係長が津之輝の最適な摘果について説明した。粗摘果と仕上げ摘果の時期を3実験区に分け調査を行った結果、5月に粗摘果、8月仕上げ摘果を行うことで生産性が上昇したとするデータを紹介。また、今月の雨で腐敗果が散見されている状況を踏まえ、薬剤散布による腐敗抑制対策を推奨した。 同市名瀬の平井農園では、園主の平井孝宜(たかのり)さんが、ハウスを活用した津之輝の密植栽培を解説。ビニール屋根の被覆下で樹形を直立、低樹高に保ち、樹木全体に光を当てる工夫によって高品質の果実を育てる栽培方法を示し、「樹形を変えると樹間が空き、さらに植えることができる。新たにかんきつ栽培を始める人が収量を上げられる方法を確立したい」と意欲を語った。 午後からは大和村の福元地区でタンカン園地を視察。防風対策を施した園地環境、摘果や施肥など適期管理による栽培事例などを学んだ。 大海部会長は「奄美大島内の生産者が一堂に集って同じ園を視察することで、横のつながりや栽培技術の情報が共有できる。検討会をきっかけに、生産者が同じ方向を向いて、産地として栽培に取り組みたい」と述べた。 今期の津之輝は10月20日前後の品質調査で、糖度が前期比1・7度高の11・4度と登熟が進んでいる。島内では11月25日ごろから、順次収穫が始まる予定。