新型プジョー・リフターは、日本車と違うからイイ! フランスが考える使い勝手のいいクルマとは?
一部改良を受けたプジョー「リフターGT」に、小川フミオが東京都心部でドライブ。フランスが考える使い勝手のいいクルマに迫る。 【写真を見る】新型リフターの使い勝手をチェック(20枚)
運転しても楽しい!
強力なマルチパーパスビークル、プジョーのリフターGTがマイナーチェンジを受けた。フロントマスクが変わり、機能が強化され、大きな荷物の積み下ろしが楽になった新型。2024年12月に試乗したところ、美点は機能だけじゃないということがわかった。 リフターGTは、マルチパーパスを謳うだけあって、人が乗れ、かつ荷物は積める。なにしろ通常時でも荷室容量は597L。日常的に大きな荷物を積むことが多いひとにはうってつけだ。大きなスーツケース積んで家族で空港へ、なんていうときもぴったり。 マイナーチェンジを受けたリフターGTは、まずフロントマスクが変わった。ヘッドランプユニットの意匠があたらしくなり、3本爪型のデイタイムラニングライトがブロック形状に変更された。「これによりSUVとしての力強さを強調」とはプジョー。 同時にヘッドライトおよびフォグランプを、従来のハロゲンからLEDに変更。夜間の視認性向上が目指されている。フロントグリルも、プジョーのシンボルであるライオンもブラックになり、機能と審美性ともにアップデートされたことになる。 変更点は多岐にわたる。 ・タッチスクリーンを8インチから10インチにサイズアップ ・CarPlayとAndroid Auto対応のUSBコネクタをType-Cに ・計器盤のアナログメーターがデジタルメーターに ・ステアリングヒーター装備 ・シート生地は、エンボス加工を施したファブリック ・マルチパノラミックルーフとリアシーリングボックス廃止 ・ミリ波レーダーの追加でアクティブクルーズコントロールの性能向上 ・レーンポジショニングアシスト追加 ・クルーズコントロール&スピードリミッターのスイッチをステアリングホイール上に位置変更 エンジンは1.5リッター4気筒ディーゼル(のみ)。96kWの最高出力と300Nmの最大トルクを発生。8段オートマチック変速機を介して前輪を駆動する。全長4405mm、全幅1850mm、全高1880mmのディメンションと1650kgの車重を持つ車体にも、十分な力を発揮してくれる。 低回転域から力がしっかり出て、加速していくときの息継ぎ感は感じられない。しかもウインドウを閉めていると、ディーゼルエンジン特有の音はほとんど意識されない。回転マナーもスムーズだ。うっかりしていると、ガソリンエンジンだと思うかもしれない。 こういう良いエンジンを作る技術は、ステランティスグループにきちんと息づいているのだなぁ、と、感心。恐らく最終減速比の設定も、日本での使い勝手を考えて高速でも使いやすくしているはず。変速もナチュラルだ。メーカー発表の燃費はリッターあたり18.2km(WLTCモード)。 欧州生まれのクルマらしく、乗用のGT仕様であっても、基本は大人数で乗って荷物も運ぶのが前提(のはず)。サスペンションの設定も硬くなりがちだけれど、リフターGTは、ひとりやふたりの乗車でも意外なほどしっとりしている。道路の不整で跳ねることもない。 高い天井の室内でステアリングホイールを握っていると、デイキャンプでもいい。こういうクルマを使い倒せるライフスタイルを送れるのは、素晴らしいことだと思えてくる。クルマ自体を楽しむだけでなく、クルマとともに生活を楽しむ。それを可能にしてくれるのが、プジョーのリフターGTなのだ。 左右独立調整式オートエアコン、後席3座独立フォールディング機構、フロント&リアアンダーガード、マルチパノラミックルーフ、リアオープニングガラスハッチなどもそなえて、価格は¥4,480,000。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)