飼育員さんも思わず触りたくなる「ふわふわ」…新江ノ島水族館、みんなで見守った待望の「赤ちゃんアザラシ」がかわいすぎる
もしかしたら妊娠しているかも?
そうした努力が実り、2021年ごろからはオガとココのあいだで交尾が見られるようになりました。しかし、なかなか妊娠には至りませんでした。遠山さんはその原因をオガの体内で作られる精子の量が妊娠に至るほどの十分な量ではなかったからなのではないか、と分析します。オガの成長を待てば、妊娠するのではないか、と考えていました。 「今年の4月に入って、もしかしたら妊娠をしているかもしれない、という瞬間があったんです。そこで獣医が、交尾をしたあとのココの生殖孔にスポイトを入れてオガの精液を取り出しました。それを顕微鏡で見ると、精子を確認する事が出来たんです。 ココが妊娠をしているかもしれない、という期待もありつつ、アザラシは見た目ではほぼ妊娠が分からないので定期的にエコー検査をしていました。すると8月ごろに3mmほどの小さな塊が見えました。それがその1週間後には6mmに成長をしていたので、妊娠していることが確実になりました。その日は本当に嬉しかったのですが、同時にしっかりと出産まで持っていけるか、という不安も大きかったです」
みんなでココを見守った
えのすいでアザラシの出産を経験したことがあるスタッフは遠山さんのみであったうえに、ココも初産でした。体重をコントロールしつつ、定期的に採血をして健康状態とホルモンの値を細かくチェックしました。ホルモンの値の変化からおおよその出産の時期が分かります。飼育プールに監視カメラを設置して、ココを見守ります。魚を食べなくなったり、陸に上がる頻度が高くなったりするのが出産の兆候です。 「ココはいつも、20~21時に陸にあがって寝て、5~6時には起きてプールに入って泳ぐんです。だけどある日、僕が7時半ごろに出勤するとまだ陸にいたんです。そこから、陸に上がるのと、プールに入るのをせわしく繰り返していました。これはもしかすると産む場所を決めているのかもしれない、と思ったんです。 昼過ぎになると陸に上がる頻度がさらに高くなったので、13時ごろから観覧制限を設けました。そこから24時間交代で見守る体制を整えはじめた矢先、18時05分に赤ちゃんが産まれました」