蚊を食べる蚊! 一度に毛虫を100匹食べる鳥など夏の「害虫」を狩る頼もしい生きものたち
両生類が減ってマラリアが増えた事例も、大事なのはやっぱりバランス
化学薬品や虫よけスプレー、シトロネラキャンドルやディート(DEET、虫よけ剤)が登場するずっと昔から、人間が厄介とみなすあらゆる生物には捕食者がいた。コウモリはチクチク刺すアブをドカドカ飲み込み、カエルは蚊をごちそうとし、ツバメはハチをススっと飲み込む。 ギャラリー:「害虫」を狩る頼もしい生きものたち 写真6点 実際、カエルは多くの蚊を捕食できる。2022年に報告されたある研究では、中米の一部で両生類の病気が発生したときに、マラリア患者が急増したことが突き止められた。他の研究では、1時間に1000匹もの蚊を食べるコウモリもいることが明らかにされている。 「ほとんどの種は、天敵によって……非常にうまくコントロールされています」と、米デラウェア大学で農学を研究するダグラス・タラミー教授は言う。 コウモリ、カエル、ツバメなどよく知られている害虫駆除種が注目される一方、他にも多くの動物が日中あるいは夜な夜な夏の昆虫を探し出し、むさぼり食い、時には獲物を食い尽くすための特殊な技術を磨いている。その中でも特に興味深いものをいくつか紹介しよう。
ハチの幼虫をあさるクマ
くまのプーさんはハチミツが大好物かもしれないが、本物のクマがハチの巣を掘り返すときは、粘り気のある甘い糖類ではなく、白くてふにゃふにゃした幼虫が目的だ。 アメリカクロクマ(Ursus americanus)は、人間が捨てた生ゴミから畑のヒマワリ、機会があれば子ジカまで、手あたり次第にほとんど何でも食べる。時にはクロスズメバチのような攻撃的な種類のハチなど、昆虫だけを食べることもある。 「彼らは幼虫を狙っています」と、国際自然保護連合(IUCN)クマ専門家グループのデビッド・ガーシェリス議長は言う。クマが食べ物をあさる前に「巣を掘り出し、私たちと同じように刺されるのを見たことがあります」 北米のいくつかの地域では、アメリカクロクマは果実が熟すのを待つ間、タンパク質を豊富に含むアリを食べて体重を維持し、さらに脂肪を体に蓄える。