ハイテクなぶん普通の旧車より難しい! NISMOが頑張る「第二世代GT-R」でさえ乗り続けることが難しい時代がきていた
経年劣化による電装系部品のトラブルがこれから続発する可能性大
3つ目は、1980年代以降のクルマのすべてに起こりうる電装系の不具合だ。それ以前のキャブレター車では、電気系統はキーシリンダー、ヘッドライト、テールランプ、バッテリーケーブル、メーター程度で、配線は現代のクルマに比べると少なかった。そのため、配線の引き直しも思ったほど手間はかからなかった。 しかし、1980年代以降はコンピューター制御のオンパレード。皆さんご存じのとおり、機械物の寿命は永遠ではなく、経年劣化は避けられない。車内は気温や湿度などの変化も大きく電子製品にとっては劣悪な環境だ。第2世代GT-Rも、発売から20年以上経過しているため、いつ壊れてもおかしくない状況にある。 実際、各ユニットの基板部分にトラブルが発生し、突如機能が停止したり、動くのだけど何となく調子が悪いというケースが激増している。しかも、電気系の傷みは目に見えないため、トラブルシューティングに時間がかかるのが厄介な点だ。ただし、そうした基板の修復には専門業者が存在し、リペアできる可能性は残されている。 第2世代GT-Rの電子デバイスのなかでもユーザーから不安視されているのが、R33/R34に採用されたアクティブLSDだ。これは、ドライバーの操作や走行条件に合わせて左右の駆動バランスを最適化し、従来の機械式LSDのような癖もなくどんな場面でもスムースな走りを実現するシステム。 しかし、経年劣化によりそのバリアブルな機能が低下し、トラクションを得る役割を果たせなくなっているものが増えている。
本来の性能をフルに発揮できる個体はほぼないため楽しみ方も変化
一般道を普通に走るだけなら大きな問題はないが、スポーツ走行を楽しむオーナーにとって深刻な問題だ。しかも、構成部品はベアリングを除き製造廃止。標準モデルのデフへの交換もできるが、新品はなく、中古も価格高騰の影響もあり、部品単体で出てくることは皆無だ。荒業としてタマ数の豊富なR32用のデフを流用することも不可能ではないが、施工は一部ショップに限られるため一般的ではない。 もうひとつのR33/R34特有の電動デバイスである電動スーパーハイキャスも不具合が出始めている。R34については昨年までは新品の本体ユニットが購入可能だったが、その価格は80万円を超える金額だった。しかし、このシステムを放置すると予期せぬ動きをして危険なため、安価なハイキャスレスを選択する人が多いという。 こうした問題を踏まえると、第2世代GT-Rに乗り続けることは現状なんとか可能だが、本来の性能をフルに引き出すのは困難になってきている。また、一般的なディーラーでは修理対応が困難になっているのは否めない。それでも、GT-Rを所有することの満足度は高い。長く乗り続けたいなら、クルマと過ごす時間を楽しむスタイルがこれからの正しい付き合い方だろう。GT-Rへの愛が、試されている。
山崎真一