強制徴収に力を入れる日本年金機構…「赤い色の最終通告」を無視した58歳男性に課される、重たすぎるペナルティ【FPが解説】
差し押さえまでには注意喚起の色封筒でお知らせが届く
妻と離婚してから、国民年金保険料を未納にし続けたAさん。滞納が続くと、日本年金機構から電話や戸別訪問での納付督励が行われます。さらに催告状や特別催告状が複数回にわたって注意喚起の色、黄色や赤(ピンク)色を使って届きます。 それでもなお納付しない人には最終催告状が送付されます。最終催告状とは、強制徴収の対象者に対し納付書とともに送付される催告文書で、指定期限までに納付されない場合には滞納処分(財産差し押さえ)を開始することが明記されています。 最終催告状の指定期限までに納付が確認できなかった場合、督促状が送付されます。督促にはペナルティ(延滞金)が発生し、指定期限までに国民年金保険料を納付しない場合、国税徴収法により、滞納者だけでなく連帯納付義務者(滞納者の世帯主や配偶者)の財産差し押さえが実施されます。 年間所得が300万円以上、未納期間が7ヵ月以上の人は強制徴収の対象です。財産差し押さえが必要であると判断されると、「差押予告通知書」が送付されます。その後は裁判所も関与し、実際に財産が差し押さえられてしまいます。 Aさんは相変わらず郵便物に関心が持てないでいました。山積みとなった郵便物に少し目をやると『年金』という文字がちらりと映ります。しかし、「いま蓄えができているから、老後のお金のことはそうそう心配ない」と封も開けずに、しばらくすると忘れてしまいます。
友人のひと言で間一髪
そんなある日、Aさんの友人が訪れます。 「離婚してから、随分部屋が散らかっているけど、この派手な封筒はなに?」と黄色や赤い色の封筒をAさんにみせてきます。「ああ、なんか届いているんだよね。どうせねんきん定期便とか、ちょっとしたお知らせの類だろう」とあまり気に留めません。しかし友人は「いや、こんな色の年金の通知はみたことないよ。開けるだけ開けてみたら」と少し不安を煽るので、Aさんは面倒ながらもはじめて開封してみました。 中身は、日本年金機構からの納付勧奨、最終催告状、督促状でした。友人は「納付されないと財産差し押さえを行うと記載されているよ」それを聞いたAさんはビックリ。赤い封筒をみて、ことの重大さに気づきます。今回は友人の指摘で督促状の納付期限ギリギリで差し押さえを免れることができました。