名建築とアップルパイを心ゆくまで堪能、Penおすすすめの青森旅【弘前編】
3.弘前市民会館
アートを鑑賞した後は、弘前市内を代表する建築物を巡りに弘前公園周辺へ。まず最初に向かうのは、日本のモダン建築の巨匠のひとりである前川國男が手がけた弘前市民会館。 弘前市民会館は、世田谷区民会館や東京文化会館と並び、前川が手がけたコンクリート素材を生かした建造物の代表的存在。木目調のコンクリートが自然に溶け込む美しいデザインで、広々とした印象を与える。当時日本で珍しかった、大ホールと管理棟をピロティでつないだ建築技術も見どころだ。 実は弘前市は、彼の母親が弘前藩士の娘であったことから、前川ゆかりの地であり、彼のデビュー作から晩年の作品まで8つの建物が現存している建築ファン必見の街。市民会館の他にも、市庁舎、病院、斎場など彼が手がけた美しい建造物は、いまでも現役で活躍しているものも多い。時間に余裕があれば、他の前川建築も回ってみるのがお薦めだ。 弘前市民会館 <DATA> 青森県弘前市下白銀町1-6 弘前公園内 TEL:0172-32-3374
4.旧弘前市立図書館
続いては、旧弘前図書館。設計・施工は、堀江佐吉によるもの。弘前藩の御用大工の家柄の生まれで、独学で洋風建築を学び、明治期に東北地方の洋館を多く手がけてきた人物だ。木造洋風3階建て、八角形の双塔など典型的なルネサンス様式を基調としながらも、寺院建築に見られる木鼻を用いるなど、和風様式が随所に取り入れられている。 旧弘前市立図書館 青森県弘前市下白銀町2-1 追手門広場内 TEL:0172-82-1642
5.藤田記念庭園
最後は藤田記念庭園内でひと息。大正時代に弘前市出身の実業家・藤田謙一の別邸として建てられ、主に登録有形文化財の洋館、匠館から成る。敷地内にある和館や洋館からは、弘前随一の絶景、岩木山を望むことができる。 弾丸旅の人におすすめしたいのが、アップルパイのテイクアウト。なんと藤田記念庭園の洋館では、常時5~8種類のアップルパイが販売しているのだ。どれも青森を代表する洋菓子店によるもので、フォルム、味わいともに個性豊かでレジ横で悩む人が続出。時間があれば、イートインできるので、館内で岩木山と美しい庭園の風景を楽しみながら、食べ比べしてみても楽しそうだ。ちなみに弘前市では、アップルパイガイドなるものが存在。アップルパイも制覇して、アートとグルメ、両方極める旅はいかがだろうか。 藤田記念庭園 青森県弘前市上白銀町8-1 TEL:0172-37-5525
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文:住吉智恵・Pen編集部 写真:溝口拓