「コミュニティ」を通してオンラインとオフラインを融合…ホームセンター〈カインズ〉が目指す「DIY」の未来のカタチ【対談】
ポイントは、小さい火を徐々に広げていくこと
小父内 ファンコミュニティ立ち上げのポイントを教えてください。 澁谷 コミュニティ立ち上げ当初に小父内さんに教えていただいたなかで印象的だったのが、「コミュニティでは小さい火を徐々に広げていくことが重要だ」という言葉です。教えていただいた通りに最初は10名のコアメンバーから始めたのですが、正直にお話しすると、もっと勢いよく大きく始めたほうが良いのではないかという声も社内で上がっていました。ですが、少人数のコアメンバーから始めたおかげで、運営の土台を築くことができ、コミュニティの活性化に大きくつながりました。小さい火を徐々に広げていくことは非常に重要なポイントだと思います。 小父内 まずは小さいことからコツコツ積み上げていくことが本当に重要です。「CAINZ DIY Square」は、今では年間15万アクションがある熱狂的なコミュニティとなっています。これまでコミュニティを見てきたなかで、印象的なユーザーのことやエピソードなどがあれば教えてください。 澁谷 先ほどお話ししたコアメンバーのうちの一人は、カインズのことが好きになりすぎて、今ではカインズでアルバイトメンバーとして働いています。その方の自宅をコミュニティの取材で訪ねたことがあるのですが、DIYで作った作品で溢れていましたね。 小父内 一緒に働く仲間になってくれるというのは、コミュニティの究極の姿ですね! 他に印象的なエピソードはありますか? 澁谷 今までワークショップに一度も参加したことがなかったお客様なのですが、コミュニティの投稿を見たことがきっかけで、年間100回以上もワークショップに参加してくださるようになった方もいらっしゃいました。また最近では、お客様同士、オンラインでつながったことをきっかけに、リアルでもつながっている方々もいらっしゃいます。中にはご自宅でワークショップを開催して、そこに他のコミュニティメンバーを招待している方もいらっしゃいますね。 小父内 自宅でワークショップを開催するのはすごいですね。どんどん広げてくれるアンバサダーのような存在になっているのですね。ちなみにコミュニティを始めるにあたって、大変だったことはありましたか? 澁谷 コミュニティを盛り上げるという意味でも、立ち上げた当初は誰も反応しない状態をつくらないようにスピーディなコミュニケーションを心がけていたので、少し大変な部分がありました。投稿があったらすぐ運営からコメントを返したり、〝いいね〟を付けたりして、コミュニティに投稿することへの心理的なハードルを下げる努力をしました。今考えると、必要なプロセスでしたね。 小父内 たしかに、当時の澁谷さんは、コミュニティ活性化のために、運営サイドとしてできる限りのことをされていましたし、非常に努力されていましたよね。現在、コミュニティに所属しているメンバーの属性はどのようなものでしょうか? 澁谷 当初は女性の割合が多くなると想定していたのですが、男女比はおよそ1:1です。投稿が多いのはどのような属性の方なのかという分析はこれから進めていきたいと思っています。 小父内 ちなみに、コミュニティでの投稿を見て、商品の購入につながるケースはありますか? 澁谷 そのようなこともあります。積極的に投稿してくださるお客様がいるのですが、そのお客様が使っていたカインズのオリジナル商品のドライバーを、投稿を見て購入したという方がいらっしゃいましたね。 小父内 それは良い流れですね。さらにコミュニティ内で商品を購入できたらいいですよね。 澁谷 それはとてもやりたいと思っていることのひとつです。さらに、DIYを極めているコミュニティメンバーの中には、自分の作品を販売したいと思っているような方もいらっしゃいます。そのようなマッチングなどもできたら面白いと考えています。
【関連記事】
- 「早く資産を増やしたい」…インデックスでも米国株でも「勝てなかった」投資家が3年9ヵ月で5,975万円稼いだ〈とっておきの投資術〉とは
- 家賃設定は〈地域最安値〉でも…不動産投資で安定して「利回り20%」を実現する方法【専業大家が解説】
- 鹿児島の40代夫婦「1,280万円の物件」で不動産投資→驚きの利回りに…会社員は“大家業に向いている”といえる理由【メガバンク出身のコンサルタントが解説】
- なぜ地方出身の高学歴女性は地元に帰らないのか? 高騰し続ける〈首都圏の不動産価格〉のウラにある「高所得・高学歴」カップルの再生産【専門家が解説】
- 【実は損】住宅ローンの繰り上げ返済は「しない方がいい」これだけの理由【登録者数11.5万人/住宅系YouTuberが助言】