「新宿騒擾」暴徒化するデモ隊 700人以上摘発 警視庁150年 52/150
昭和43年、メダルラッシュにわいたメキシコ五輪の裏で、国内では「国際反戦デー」の10月21日、各地で反ベトナム戦争を掲げる学生らが過激なデモを行った。東京では、新宿駅周辺に集まったデモ隊が暴徒化。駅を占拠する「新宿騒擾事件」が発生した。 22日付『産経新聞』によると、21日は夕方からデモ隊が線路に侵入して電車がストップするなど混乱が続いた。午後9時ごろには、新宿駅構内にデモ隊が乱入。数千人にも膨れ上がった。 「学生たちは構内いっぱいにデモ行進し、線路のジャリを取り、まくら木まで引きぬき警官隊に抵抗した」(同紙)。信号機や止まっていた車両も打ち壊され、階段が放火されたほか、警察車両も燃やされた。 警視庁は日付が変わった22日午前0時15分、騒乱罪の適用を決定。秦野章警視総監は会見し、「騒乱状況に加担したものは、なん日かかっても、草の根を分けても捜し出し、検挙する」と決意を表明した。逮捕者は700人以上にもおよび、中央大や明治大の学生会館が捜索された。 現場にはデモ隊のほかに、2万人ともいわれる「群衆」がおり、警官隊の動きを制限した。中には破壊に加わる者もいたほか、警官隊に追われたデモ隊が逃げ込む「隠れみの」ともなるなど、群衆の存在が混乱の拡大を引き起こしたとされる。 『産経新聞』は、「彼ら(群衆)はもう無責任なヤジ馬とはいえない」と指摘。事件をどうさばいていくかは、今後、騒乱を取り締まる際の「大きな議題になるだろう」と警鐘を鳴らしていた。(橋本昌宗)