【埼玉県】大野元裕知事が絶唱、銀行社長がカツラに…「紅白」より面白いテレ玉「元日ゴールデンタイム放送」の“奇祭”とは
ブランド総合研究所が発表する47都道府県の「魅力度ランキング」で、今年、埼玉は46位だった(最下位は佐賀)。昨年、47位だった茨城が45位に上がり、関東では最下位である。映画「翔んで埼玉」シリーズで大いに名を売り、今年7月からは1万円札の肖像画が埼玉出身の渋沢栄一になったのに、一体なぜ? ひょっとして選考基準にアレが入っていないのではないか? なんて県民の声もありやなしや……。 【写真】カツラに手をかけた瞬間、客席は…大物政財界人が跳んだり跳ねたりの全ショット ***
40の市、22の町、1つの村を抱える埼玉は、実は「祭り」が多い県として知られる。手の込んだ山車が練り歩く曳山祭も多く、12月に開催される秩父夜祭は京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに日本三大曳山祭に数えられる。そして、ただでさえ暑い真夏の熊谷で開催される熊谷うちわ祭、小江戸・川越の川越氷川祭(川越まつり)、8台の山車を曳き回す久喜の提灯祭(天王様)……魅力は多いのだ。そして、とある県民は言う。 「近年“埼玉の奇祭”としてネット上で名高いのが『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』です。毎年1月1日、テレビ埼玉のゴールデンタイムに放送されるのど自慢です」 もちろん、ただののど自慢ではない。会場は埼玉で初めて高さ100メートルを超えた高層ビル・大宮ソニックシティの大ホール。県内の政財界の要職が、派手な衣装を身にまとい、生バンドをバックに独自の演出を交えて初歌を披露する。当然ながら、例年、大トリは埼玉県知事である。 初めて開催されたのは1992年だった。テレ玉は「歌で埼玉を元気にという思いに賛同いただいた政財界と番組を立ち上げた」と説明するが、実際はちょっと違うと関係者は話す。
出場させてください!
「1992年7月の県知事選では、6期目を目指す現職の畑和(はた・やわら)さんと前参議院議長の土屋義彦さんが一騎打ちの予定でした。その知事選の前に、二人の候補者に歌で勝負させたら面白い、という財界側から出た冗談から始まったのです」 92年2月1日に放送された第1回では、畑氏は「秩父木挽唄」、土屋氏は「奥飛騨慕情」を熱唱。後に畑氏が出馬を取りやめたことで、土屋氏が知事となった。 「以来、県知事選は、『歌謡祭』の大トリに出場するための予選会なんて声もあります。実際、現職の大野元裕知事は、2019年の初出馬の際、《「埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」は県知事が大トリです。県知事選挙はオーディションとの意見も? 大野を出場させてください! 》とXに書き込んでいました」 埼玉政財界の重鎮にとって、それほど重要なイベントなのだ。もっとも、重鎮たちが元日からのど自慢で歌うわけにもいかないから、番組は事前に収録される。今年は11月30日に行われた。その模様をお伝えしよう。 トップバッターは東京ガス埼玉支社の細田千恵支社長で、3度目の出場となる今回はフィンガー5の「学園天国」を熱唱。客席からは社員や家族からの声援が飛ぶ。出場者ごとに声援を送る一角が移り変わるのが、この歌謡祭の特徴だ。歌い終えた細田支社長はこう語った。 細田支社長:1ヶ月前からダンスチームと一緒に週2回、練習してきました。正直言ってそんなに出たいわけじゃないんですけど、サラリーマンなのでしょうがない。早く終わらせたいのでトップバッターに志願しました。 出場に消極的な人ばかりではない。