鼻が腐りかけたことも…母の反対を押し切り、2000万でフル整形したトランスジェンダーモデルの矢神サラ「明確な目標と強い意志が必要」
◆SNSの誹謗中傷にも対峙、自身の見解を発信していくことが大事
――整形手術や性転換手術の経験を始め、トランスジェンダーとしての生き方や置かれている状況など、SNSでは自身の意見をしっかりと発言しています。それに対して誹謗中傷を発信する人もいますが、SNSとどのように向き合っていますか? 【矢神サラ】 私のSNSの向き合い方でいうと、何かの発言に対して反対意見があるのは良いことなんですよ。それは人それぞれの価値観なので、傷つけられているとは思わないのですが、日常の憂さ晴らしに第三者を攻撃している人達からの悪口や中傷は別です。それを見ている第三者まで傷つく内容も多く、そういう場合は長文で自分の考えを送り返す時もあります(笑)。匿名の悪意は無視するのが正解だとは思うのですが、「あなたの言葉で私が自殺したら責任はとってください。開示請求手続きしますので」と酷い時には戦っています。世の中には、SNSの誹謗中傷に苦しみ命を落とす人も多くいます。こういうことを発信していくのも大事だと、私は感じています。 ――整形手術や性転換手術などを経験し、今年3月には日本人で初めてトランスジェンダーのモデルとして世界的なコレクション『LAファッション・ウィーク』に出演しました。これまでの人生を振り返り、いま思うことはありますか? 【矢神サラ】 いま振り返ると「命を燃やして走ってきた」と感じています。現代のLGBTQとして生きるには、どうしても社会に対しての怒りが生まれます。例えば、LGBTQパレードにしても、もともと自分たちの存在を社会にアピールするための“怒り”から生まれていて、その感情をハッピーでポジティブに表現しようとしています。 私も同じような怒りからスタートして、それをどう社会に表現すれば、誰に対しても攻撃的にならず、対立を生まずに伝わるかを考えてきました。その上で、自分という存在を楽しみながら社会と向き合っていくことが大事だと感じています。それを若い世代に伝えたいです。自分自身が楽しく、美しく、かっこよく生きることで、社会から注目してもらえるきっかけになる。「この人のことを知りたい」と思ってもらえるようになって、いま悩んでいる若い世代が目指すその先にいる存在になりたいです。 (文/武井保之)