一橋卒→“ドラァグクイーン界の仏”に…52歳になったエスムラルダが語る、嫉妬しなくなった理由「若い頃は、コンプレックスの塊だった」
「自分へのツッコミ」のすすめ
エスムラルダ 若い頃、私の周りには、ちょっと意地悪で鋭い人が何人かいてね(笑)。たとえば、私が失恋して自己憐憫に浸ってると「悲劇のヒロインぶっちゃって!」とか、自分をちょっと大きく見せようとすると「キレイぶっちゃってさ!」とか、ツッコミを入れてくるわけよ。 で、そういうツッコミが嫌なのは、自分が無意識のうちに意図していることを、その人に見破られてるからなんだと気づいたの! だから、他人から言われる前に「あー、自分は今ヒロインぶってる」とか「あら、私ったら、この人のこと、今妬んでるわ!」とか思うようにしたの。そうやって自分の感情を観察して、自分にツッコミを入れるようにしていたら、それがクセになって……そんなふうに自分の感情を自分で把握していれば、「ええ。悲劇のヒロインぶってますけど、なにか?」って開き直ることもできるようになる。 ――なるほど。「自分にツッコミを入れる習慣」、いいですね。 エスムラルダ 最初は結構ハードルが高いと思うんです。自分の嫌なところも全部直視しなきゃいけないから。でもそこを乗り越えたら、断然ラク。自分自身の気に入らないところやネガティブな感情から目を背けていると、ある日、いきなり憎しみが噴火したり、自家中毒を起こしたりすることがある。 でも「自分はあの人のことが憎いんだな」「自分にはこういうダメなところがある」としっかり認識すると、自分をコントロールしやすくなるし、「そういう感情を持ってしまうのも自分」「人間だから、完璧じゃないのも仕方がない」って、負の部分も含めて受け入れられる。私にそれができるようになったのが、30代半ばくらいかな。 ダメなところもいっぱいある自分を、好きになるというよりは「これはこれでしょうがないよね」と潔く諦めるというか。できる部分は改善するけど、改善できなくてもしょうがないって認めると、他人にも優しくなれる。瞬間的にイラッとすることがあっても「でも自分も完璧じゃないし、他の人も完璧じゃないのは当然」って考えられるようになるんです。