「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」(東京ステーションギャラリー)開幕レポート
東京駅直結の東京ステーションギャラリー で、イギリスの生活文化を変えたと言われるデザイナー、サー・テレンス・コンランの世界観とその功績を紹介する展覧会「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」がスタートした。会期は2025年1月5日まで。本展監修はティム・マーロウ(ロンドン デザイン・ミュージアム館長)、キュレーターは泉川真紀。 コンランは1940年代末からデザイナー・家具などのつくり手として活動し、64年にはライフスタイルを提案しつつプロダクトを販売するショップ「ハビタ(habitat)」の先駆的経営に成功した。現在のセレクトショップや、モダン・ブリティッシュと称された新しい料理スタイルのレストラン経営、都市開発プロジェクトやデザインミュージアムの設立、多数の著作など、ほぼ半世紀にわたってそのデザイン理念を精力的に実践し、世界中に影響を与えてきた人物だ。 本展は、コンランが提案し続けた「生活の質に意識的になること」によって、誰でも入手可能であるモダンなライフスタイルや、「PLAIN, SIMPLE, USEFUL(無駄なく、シンプル、機能的)」をキーワードに、様々な資料やインスタレーションを用いてコンランの世界観とその功績を紹介するものとなっている。 開催に先立ち、監修を務めたマーロウとキュレーターの泉川は次のようにコメントしている。「コンランを際立たせるのはデザインされたもののみならず、人々が願うライフスタイルを実現してきたことにある。デザインとは、エリート趣味ではなく、様々な視点に立って課題に向きあう姿勢そのものだ。コンランの功績はそれを示している」(マーロウ)。「本企画は約3年前にコンランショップ・ジャパンから持ち込まれたもの。会場ではコンランの姿を前面に見せるのではなく、製品や資料、そして周縁の人々のインタビュー映像によってコンランの功績にせまる仕立てとしている」(泉川)。
撮影・文=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)