日本のLCCは成功したのか?/明暗分かれた3社
昨年3月に国内はじめてのLCCとなるピーチ・アビエーションが就航し、同7月にはジェットスター・ジャパン、同8月にはエアアジア・ジャパンが就航を開始しました。国内のLCC3社が揃ってから、そろそろ1年になりますが、ここにきて明暗が分かれてきました。3社の歩みを比較してみましょう。
業績好調なピーチ・アビエーション
3社のなかで、もっとも好調といえるのは、ピンクの親しみやすい機体が特徴的なピーチ・アビエーションではないでしょうか。累計搭乗者数100万人を突破したのは就航から約9ヵ月後。200万人に到達したのは、その約5ヵ月後と着実に利用者を増やしています。 ピーチ・アビエーションは、直近の「よりどり桃セール」で関空-福岡線を片道2980円で販売するなど、お手軽な旅行を提案しています。筆者も関空-福岡線に搭乗したことがありますが、観光目的とおぼしき女性客が多いのには驚きました。女性客の割合は通常3割程度といわれますが、ピーチ・アビエーションの利用者は半数程度が女性。価格に敏感で、カジュアルな旅行を好む層を見事に取り込んだブランド戦略が躍進の要因といえそうです。 24時間空港である関西国際空港を本拠地とするメリットを活かし、LCCにつきものの遅延や欠航が少ないという安心感もあります。10月には成田空港にも乗り入れを開始しますが、今後の展開から目が離せません。
最低価格保証のジェットスター・ジャパン
いっぽう、成田空港を拠点とするジェットスター・ジャパンもなかなか健闘しています。同社の航空券販売サイト「Jetstar.com」に記載された運賃よりも、ほかの航空会社がインターネットで公示している運賃が安い場合、差額相当のバウチャーを提供する「最低価格保証(各種条件あり)」を打ち出すなど、廉価にこだわった姿勢で若者を中心に支持を集めているようです。 定期的にセールをおこなうなど、格安チケットを入手できる機会も多く、7月3日には就航1周年記念セールとして、1000席限定で「1円チケット」を販売(メール会員のみ)。LCCらしい話題性のあるキャンペーンを展開しています。 ただし、社内規定違反で国土交通省から厳重注意を受けたり、すでにチケットを販売していた便が長期間にわたって欠航したりと、マイナスポイントも少なからずあります。安全性に関わる問題はしっかりした対策が必要ですが、欠航や遅延については、ある意味LCCを利用するのなら覚悟しておくべきことなのかもしれません。筆者もすでに20回以上、同社を利用していますが、予約していた便が運悪く2度ほど欠航になりました。その際は翌日の早朝便に振り替えられましたが、きちんとホテルを用意してくれたことも付け加えておきましょう。