すべての要因は「ケチな体質」にある ダイハツ不正問題について専門家が指摘
6年半が経つのに「わからなかった」とは言えない奥平社長
飯田)まさにガバナンスの問題ですか? 経済アナリスト ジョセフ・クラフト)まさしくガバナンスです。個人的に不快だったのは社長のコメントです。確かに「経営陣の責任」とは言っているのですが、「しっかりした現場だと思った」とか「プレッシャーがかなり大きかったのだろう」など、間接的に「現場が悪い」と言っています。その部分もあるかも知れませんが、社長だけでなく、経営陣全体の責任をより重く受け止めて欲しいですね。個人的には、あまりいい会見ではなかったと思います。 飯田)奥平社長が苦しい立場だったところもあるのですか? 国沢)奥平さんが社長になってから6年半が経っています。6年半いて「わからなかった」という言い逃れはできないし、私も「それはないのではないか?」と思いました。
長ければ1年は車を売ることができなくなる
飯田)OEM(相手先ブランド製造)も含め、ダイハツはトヨタやマツダなど、いろいろな会社のものを請け負っていますよね。 国沢)トヨタだけでも約22車種あり、日本だけでなく海外の車も含まれるので、すごい量ですね。 飯田)今後、どのような展開になりますか? 国沢)とりあえず現在つくっている車、これから売る車はすべて売れなくなると思います。事実上、認証取り消しのようなものなので、これからナンバーを取ることはできません。おそらく認証取り直しになると思います。そうすると最短でも半年ぐらい、長ければ1年は売ることができないですね。 飯田)経営には確実にダメージが出ますね。 国沢)大ダメージで、いままでにないくらいの規模になると思います。
関連会社や下請けも多いダイハツ
飯田)グループ全体として、トヨタも含めての影響はありますか? 国沢)トヨタ自動車は経営状況がすごくいいので、会社自体への影響は少ないと思いますが、ダイハツの親会社です。トヨタの幹部に取材したところ、「お客さんに迷惑をかけないように指導していきたい」と言っていました。 飯田)お客さんに迷惑をかけないように。 国沢)もう1点、ダイハツは意外と大きな会社で、関連企業も多く、下請けも多い。ダイハツの景気が悪くなると、そういう人たちも困ってしまうので、そこも何とかしなければなりません。トヨタとしてはその辺りも考えているようです。「とんでもないことをしてくれたが、責任を取らなければいけない」というのが現在の流れですね。