排出削減実行を「各国に要求」…COP29議長国アゼルバイジャンのムフタル・ババエフ氏
国連の気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11日に開幕するのを前に、議長国アゼルバイジャンのムフタル・ババエフ環境・天然資源相が読売新聞の書面インタビューに応じた。世界の温暖化対策は遅れているとして、各国に温室効果ガス削減目標の引き上げを求める考えを明らかにした。
温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」は、世界平均気温の上昇幅を産業革命前と比べ1・5度以内に抑える目標を掲げている。しかし、国連環境計画(UNEP)は先月、削減に向けた各国の現状の取り組みのままでは、今世紀中に平均気温が3・1度上昇する可能性があるとの報告書をまとめた。ババエフ氏は、「現状の対策を続けている余裕がないことは明らかだ」と指摘。「議長国として全ての国に対し、排出削減策を迅速に実行に移すことを求めるつもりだ」と決意を示した。
災害に弱い途上国への支援策として先進国が拠出する「気候資金」も、会議の主要議題となる。現状の年1000億ドルからの上積みが議論の焦点となるが、支出増を求める途上国と負担増を渋る先進国の対立が顕著になっている。ババエフ氏は「途上国の要望を反映した野心的な目標を目指しながらも、公正・公平なゴールとすることを心がける」と合意への意欲を示した。
日本とアゼルバイジャンは2022年、技術提供による温室効果ガスの削減量の一部を日本分に算入する「2国間クレジット制度(JCM)」の協力覚書を結んでいる。ババエフ氏は脱炭素分野で両国の協力関係が一層深まることについても、期待感を示した。