尾上右近&松田元太、魂をかけて挑んだ初声優 『ライオン・キング:ムファサ』で混ざり合う才能【インタビュー】
大和田さんのムファサは、僕にとってもすごく大きな存在です。本作は大和田さんが演じたムファサの遥か昔の物語ということで、あのムファサとは違うけれど、つながっているところはあります。収録では、本国の声優さんの声を聞きながら吹き込むので、トーンやニュアンス、 声の温もりは自ずと意識していたと思います。ですが、あえて自分から強く意識することではなく、それを自分のものにする余裕もなかったのが正直なところです。
Q:声を吹き込んでいく中で、ご自身が演じたムファサのイメージが確立した瞬間はどこでしたか? 右近:最終日に、ようやく自分なりの型みたいものが掴めた感覚がありました。「この感じでいけば全て整う」ような、自分の色が決まった瞬間を感じて、最初に収録したパートに戻って、リテイクをしたりしました。そこで、ようやく自分なりのムファサの声ができた気がしました。
自分がタカだという気持ちでトライ
Q:(松田さんへ)メガホンを取ったバリー・ジェンキンス監督は、この作品で「スカーの心の傷がどのようにして生まれたのか、その心の傷がどこから来たのかを探求する」と語っています。後にヴィランとなるタカの内面を声で表現するにあたり、松田さんはどんなことを意識されましたか? 松田元太(以降、松田):タカからスカーへと変わっていく瞬間は、難しさもありました。僕は人一倍タカに愛情を注いでいて、タカの感情、気持ち、彼が見る景色とかを自分の中で解釈しました。字幕版の声優さんの声色やトーンを聞いて、「この時のタカは悲しんでいて、声がかすれている」「ここは呆れているから声がかすれている」などさまざまバリエーションを勉強させていただきながら、自分がタカだという気持ちで真っ向勝負でトライしました。ディレクションしてくれるスタッフさんにも、「ここは(声のトーンを)少し上げた方がいい」「次の言葉は逆に下げた方がより感情が伝わる」といった的確なアドバイスをいただきながら、 魂をかけて挑みました。僕も、最初に録ったものより、後に録ったものの方がいい意味での慣れやナチュラルな感じがあったので、リテイクさせていただきながら収録しました。