空家になっている実家が「管理不全空家」の勧告を受けました。固定資産税が6倍になるのでしょうか?
令和5年に施行された法律により、空家を放置していた方へ管理不全空家の勧告がされるケースがあります。管理不全空家に認定されると、住宅用地特例が受けられなくなり固定資産税が高くなるデメリットがあるため、注意が必要です。 今回は、管理不全空家の概要や、管理不全空家に認定されないためにできることなどについてご紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
管理不全空家とは
管理不全空家とは、一言で表すと「管理が行き届いていない空家」です。令和5年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」により、管理不全空家の指定を受けた空家は固定資産税の住宅用地特例を受けられなくなる場合があります。 「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」によると、周囲に著しく悪影響を及ぼす可能性のある「特定空家」になるリスクのある空家を管理不全空家としています。管理不全空家とみなされると、まずは自治体の長から指導や勧告がなされ、勧告を受けると固定資産税の特例は解除されます。 国土交通省によると、法律が制定された背景としては1998年からの20年間で空家の数が約2倍にも増加したことが挙げられます。空家周辺地域への悪影響を防止したり、管理している方への責務を強化したりするために制定されました。
固定資産税の住宅用地特例とは
総務省によると、住宅用地特例とは、200平方メートル以下の住宅用地(居住できる建物の敷地)は課税標準額が価格の6分の1に、200平方メートルを超える部分は価格の3分の1になる制度です。 土地の固定資産税の計算は、土地が更地の場合と住宅が建っている場合で計算方法が異なります。固定資産税の計算において住宅用地特例は大きく影響するといえるでしょう。 以前は、特定空家のみが住宅用地特例の対象外でしたが、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」により管理不全空家も住宅用地特例の対象外になりました。 課税標準額で考えると、管理不全空家に認定されると200平方メートルまでは約6倍、200平方メートルを超える部分は約3倍の固定資産税が課税される場合があります。 仮に、200平方メートルの土地に特定空家ではないもののきちんと管理できていない空家があったとしましょう。住宅用地特例の有無でどれくらい固定資産税額が変わるかを比較します。条件は以下の通りです。 ・課税標準額は住宅用地特例を適用して100万円 ・固定資産税率は1.4% まず、住宅用地特例が適用されていると「100万円×1.4%」で固定資産税額は1万4000円です。しかし、管理不全空家に認定され、住宅用地特例から外されると課税標準額は6倍の600万円となります。課税標準額が600万円のときの固定資産税額は8万4000円です。