降雪地だと軽油が凍って走らなくなるってマジ!? それどころかウォッシャー液も冷却水も凍る可能性があった
クルマに必要な雪対策
マツダCX-5が発売された2012年以降、国内でも国産車/輸入車を問わず、ディーゼルターボエンジン車の需要が高まった。そこで起きたのが、寒くなって軽油が凍ってエンジンが始動しないという事態だ。 【画像】極寒地域で起こるさまざまな凍結からクルマをまもるための方法 ガソリンに比べ軽油は揮発性が低く、厳寒の地では粘度が下り燃焼しにくくなる。そこで、寒冷地へディーゼル車で行く際は、目的地のガソリンスタンドで凍りにくい対策がしてある軽油を給油するのがよい。 そのほか、冬場に気を付けるべきは、ウィンドウウォッシャー液や冷却水ではないか。 ウィンドウウォッシャー液は水で薄めて利用する。自分で調合できるが、濃さの調整次第では気温の低い場合に凍結する可能性がある。気温が下がったら、濃さを調整しなおすか、寒冷地仕様のウォッシャー液も販売されているので、そちらを選ぶ手もある。 冷却水は、基本的には不凍液と呼ばれる製品を使っているので、通常の整備をしていれば凍る懸念は少ないだろう。ただ、たとえばオーバーヒート気味になって水を継ぎ足し、そのまま冬を迎えたような際には、交換するなど手をかけるほうが安心だ。冷却水が凍ると、ラジエターが壊れたり、エンジンがオーバーヒートを起こしたりと、余計な費用がかかる恐れもある。 ほかに、フロントウインドウは寒さで凍結しやすい。雨が降ったり雪が降ったりしなくても、気温が零下前後になったり、気温が低いところに風が吹いたりするなどで温度がさがると、凍結の可能性が出る。ガラスが白くなり、前方視界が遮られるため、つい、ウインドウウォッシャー液を使いワイパーで拭いたくなるが、ワイパーでこすっても凍った水滴は拭えず、またウインドウウォッシャー液で全面が濡れ、それが凍ってさらに視界を遮ってしまう恐れもある。 フロントウインドウに水滴がつきにくくなるよう、こまめにガラス面を掃除するのが基本で、加えて撥水剤を利用したり、凍結防止の覆いをかけたりという予防が肝心だ。 エンジンオイルは、化学合成油により1万kmは交換せずに済むような時代となり、それは年間を通じて同じオイルを使い続ける可能性が高まるので、基本的に冬に凍結する心配は少ないだろう。とはいえ、ことに低温になる地域では、冬に強い種類のオイルを使えばより安心だ。 オイルの容器に記される粘度表示で、Wと付く数字がウィンター(Winter)を意味しており、冬場の性能を表す。たとえば、0Wなら-35℃、10Wであれば-25℃まで可能なオイルとなる。 そのうえで、0W-20というような表記の右側の数字は、温度が高い場合の性能を示している。高温でも粘度がさがらず、油膜切れを起こしにくい。その数字が大きいほど、熱に強いことを表す。 そのほかの冬の対処療法として、厳寒の北欧では、駐車場所にエンジンを電気で温めるため支柱の電源が立っている。そこに配線をつなぐとずっと温め続けてくれるので、エンジンオイルが凍らず、いつでも出かけられるというのがある。 これは、駐車したらコンセントをつなぐという行為が必要なので、ある意味電気自動車(EV)の充電も同じ操作になるともいえる。なので、北欧ではEVの普及が違和感なく容易に進んだといわれている。
御堀直嗣