北海道新幹線「開業延期」で迷走する並行在来線 住民の意見を無視し、道はバス転換にこだわる
■原発災害時の避難輸送に鉄道は必要だ さらに、小樽市の住民説明会に参加した50代会社員の男性は「在来線の沿線に近い泊原子力発電所の災害時の住民避難の手段として鉄道の維持が必要なのではないか」と会場で問題提起をしたが黙殺されたと証言する。実際に、北海道防災会議が発行する北海道地域防災計画(原子力防災計画編)には、放射能漏れなどの原子力災害時にJR北海道とJR貨物北海道支社が救助物資と避難者の輸送協力に関する指定公共機関とされており、「函館本線(長万部―小樽)輸送力」として同区間のダイヤと使用車両と定員を詳細に記した補足資料も添付されている。前出の男性は、「後志管内約8万人の住民をバスと自家用車だけで避難させるのは不可能ではないか」と指摘する。
道は、こうした住民からの指摘すらも黙殺し、地域交通の破壊を進め原子力災害時の地域住民の被曝リスクを高めるとともに、地域経済活性化の機会すら奪うつもりなのだろうか。
櫛田 泉 :経済ジャーナリスト