「カクレンジャー」30年ぶり続編、実現の裏にキャストの奮闘 小川輝晃&広瀬仁美が明かす紆余曲折の制作秘話
そこから、小川が中心となって作品の企画書を作成。広瀬と交流があるプロデューサーに提出するも、「これでは無理です」とまさかの答えが返ってきた。
「私たちがやりたいことをたくさん詰め込んで、夢の風呂敷をバンッと広げたような内容でした。その中から、いい部分を少しずつつまんで、現在の作品になっています。彼(小川)が内容などをすごく考えてくれて、私は『話はこういうのがいいな』とか『全員集まるにはどういう順番が必要かな』など考えて、サポートしていました」(広瀬)
若づくりして演じることはやめよう
「カクレンジャー」テレビシリーズは、全53話を「第一部」(第1話から第24話)、「第二部・青春激闘編」(第25話から最終話)と二部構成にわけたストーリー展開が特徴だ。完全新作は「第三部・中年奮闘編」と銘打ち、テレビシリーズ“第54話”とも言えるその後の物語が描かれた。 前述のとおり、本作品のタイトルには30周年を記念した作品であるということは表現されていない。 「第三部・中年奮闘編」というサブタイトルも、本編内で各話タイトルのように表示されるだけだ。これは、本作品を30周年という一過性のお祭りに終わらせず、40年、50年と経っても色あせない、テレビシリーズの地続きの話を作りたいというプロデュース陣の想いによって付けられたそうだが、30年経った5人のいまの姿を描くことは、キャストによるこだわりだった。
「30年前の5人の姿を踏襲して『俺たち、まだできるぜ』と若づくりして演じることは、やめようと思っていました。そうではなく、30年経ったいまの等身大の姿をお見せできたらいいなと、話を詰めていきました。『第三部・中年奮闘編』は、それを具現化した秀逸なサブタイトルです」(小川)
話が本格的に進んだのは、2022年夏のこと。実現にあたり、当時のキャストが出演できるかが最大の問題となっていた。
「土田大(サイゾウ/ニンジャブルー役)は声優として多忙なため、スケジュールが確保できるかわからない状態でしたが、(メガホンを取った)坂本浩一監督に打診ができた段階で、5人でご飯を食べながら、どんな話にするかを考えようということになり、そこで初めて5人での話し合いの場を設けました」(小川)