ピーチ、定時性最下位脱出 ANAより上位、国交省4-6月期情報公開
国土交通省航空局(JCAB)が10月11日に公表した大手2社など「特定本邦航空運送事業者」10社が調査対象となる「航空輸送サービスに係る情報公開」の2024年4-6月期分によると、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のLCC、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)の定時運航率が改善し、長らく続いた最下位を脱出した。運航規模が異なるため単純比較はできないが、定時出発率と到着率ともに全日本空輸(ANA/NH)を上回った。ピーチは2023年度から定時性改善を進めており、今後は上位グループの常連になれるかが課題になる。 【写真】シンガポールに就航するピーチのA321LR ◆定時出発率 JCABの情報公開は「定時運航率」「遅延率」「欠航率」などを調査しているが、今年度からは定時運航率を出発と到着の2つに分けた。これまでは出発のみが対象だったが、より利用者の利便性に直結する到着にも広げた。 4-6月期の定時出発率1位は、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)の94.66%(前年同期は3位)。2位がスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)の94.26%(同1位)、3位がソラシドエア(SNJ/6J)の92.17%(同5位)、4位がスカイマーク(SKY/BC)の92.05%(同2位)、5位がエア・ドゥ(ADO/HD)の91.71%(同9位)、6位が日本航空(JAL/JL、9201)の90.54%(同7位)、7位がピーチの89.43%(同10位。最下位)、8位が日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)の86.07%、9位がANAの84.77%、10位がジェットスター・ジャパン(JJP/GK)の83.77%(同6位)となった。 2019年度以降のピーチの定時出発率は、コロナ前の2019年度が12社中最下位の78.41%で、2020年度は11社中10位の93.94%。10社となった2021年度以降は毎年最下位で、2021年度が86.80%、2022年度が81.35%と下降線をたどり、2023年度には79.65%と8割を割り込んでいた。 ピーチは関西空港で受託手荷物の料金決済と預け入れカウンターを分けるなど、乗客が搭乗手続きをする際に待ち時間が伸びたり、出発が遅れる要因を洗い出し、定時性向上につながる改善を重ねてきた。「社内の様々な取り組みの中で、定時運航率に対する従業員の意識が変わったことが大きな要因。一方で、お客さまに喜んでご搭乗いただくために、もっと頑張らなければならない」(同社)と、定時性が引き続き改善するよう取り組むという。 7月10日からは運賃体系をFSC(フルサービス航空会社)に近いものに見直し、支払総額を明確化。冬ダイヤ初日の10月27日搭乗分から適用し、空港で受託手荷物料金の支払いが極力生じないようにすることで、搭乗手続き時間の短縮につなげる(関連記事)。 ◆定時到着率 また、今年度から調査対象となった定時到着率は、1位がスプリング・ジャパンの95.13%、2位がスターフライヤーの93.03%、3位がソラシドエアの92.13%と、定時出発率の上位3社が並んだ。 4位はエア・ドゥの89.37%、5位がスカイマークの89.07%、6位がピーチの88.63%、7位がJALの87.27%、8位がJTAの85.00%、9位が84.90%、10位がANAの82.53%となった。 特定本邦事業者は、客席数が100席または最大離陸重量が5万kgを超える航空機を使用して行う航空運送事業を経営する日本国内の航空運送事業者(航空会社)を指す。定時性調査は、各社の運航規模の違いや、天候・航空路混雑の有無といった個別要因はあるものの、同じ航空会社の時系列による比較や、事業規模が同程度の航空会社の比較などに用いることができる。 *詳報は別途掲載します。 ◆24年4-6月期の定時出発率 1位 SFJ 94.66% 2位 SJO 94.26% 3位 SNJ 92.17% 4位 SKY 92.05% 5位 ADO 91.71% 6位 JAL 90.54% 7位 APJ 89.43% 8位 JTA 86.07% 9位 ANA 84.77% 10位 JJP 83.77% ◆24年4-6月期の定時到着率 1位 SJO 95.13% 2位 SFJ 93.03% 3位 SNJ 92.13% 4位 ADO 89.37% 5位 SKY 89.07% 6位 APJ 88.63% 7位 JAL 87.27% 8位 JTA 85.00% 9位 JJP 84.90% 10位 ANA 82.53%
Tadayuki YOSHIKAWA