【第三の候補】ケネディ氏が米大統領選で注目されている理由 トランプでもバイデンでもない候補が勝敗を分ける事情
第三の政党・候補が持つ意味
米国は二大政党制の国だと指摘されている。もちろん、実際には第三の政党も存在しており、市の選挙などでは長く議席を保持している政党は存在する。だが、大統領選挙に関していえば、第三の政党に属する候補が当選したのは、1860年の共和党のエイブラハム・リンカーンのみである。 米国では連邦レベルでは小選挙区制で選挙が展開されているために相対多数の票を獲得しなければ勝利できないこと、また、大統領選挙に際して大半の州が勝者総取り方式を採用しており、多くの州で勝利しなければならないこと、などの事情から、第三の政党・候補が大統領に就任するのは困難である。そもそも、第三の候補が投票用紙に名前を載せるためには多くの署名を集める必要があるし、大統領選挙前の討論会に参加するためには2024年の場合は世論調査で15%以上の支持を継続的に集める必要があるなど、参入障壁も高いのである。 だが、近年の政治の膠着状態を見て、第三の政党・候補に対する期待が強くなっている。大統領選挙の一年前の時点で第三の候補に集まっている支持率は、1992年のロス・ペロー以来最大となっている。第三の候補が大統領選挙結果に影響を及ぼした可能性があるとされるのは、最近では1992年のペロー、2000年のラルフ・ネイダー、16年のジル・スタインなどに限られ、その影響の度合いについても評価は分かれている。 だが、21世紀になって第三の候補に最も票が集まったのは16年で、二大政党の候補への評価が低かった時であったことを考えると、24年大統領選挙についても第三の政党・候補が一定の存在感を示す可能性があると考えられよう。とりわけ、彼らが先の6つの接戦州でどれだけのパフォーマンスを示し、二大政党のいずれの足を引っ張るか(二大政党から第三の候補に投票先を変えることもあれば、二大政党の候補への投票をやめることもあるだろう)で、結果が変わる可能性が指摘されているのである。