「素人だらけで、手当たり次第」…″無差別緊縛強盗″被害者、リクルーターが明かす粗雑すぎる手口
首都圏で相次ぐ強盗被害
「自宅の2階で寝ていたら、階下で『ドン!』とものすごい音がして妻に起こされました。様子を見に行こうとすると、窓ガラスが叩き割られた音が聞こえたんです。子供が遊びに使っていた棒で床をドンドン叩きながら『誰かいるのか!』と大声を出しつつ階段を下りたら、『見つかった!』という叫び声がした。 ガチャリとまたガラスが割れる音がしたので、犯人は窓から逃げ出したのでしょう。侵入の際にガラスの破片で切ったのか、1階廊下には血がボタボタと落ちており、それが同居する高齢の母親の部屋の前まで続いていた。部屋に入られていたらと思うと、ゾッとしました」 【画像】鈍器などで繰り返し殴り失血死…闇バイトで強盗殺人 実行犯の戦慄「素顔写真」 自宅に押し入り、住人を緊縛した上で暴行し、金品を強奪――。首都圏で強盗被害が相次いでいる。8月末から2ヵ月弱で14件。10月18日には、合同捜査本部が警視庁に設置された。 冒頭は10月14日未明、一連の事件と同じ手口で強盗に押し入られた千葉県鎌ケ谷市在住の男性による証言だ。 「10月15日には死者も出ています。横浜市青葉区の後藤寛治(ひろはる)さん(75)は発見されたとき、粘着テープで口を塞がれていました。鈍器などで繰り返し殴られたのか、上半身を中心に何ヵ所も骨折をしていた。死因は全身打撲による失血死でした。一連の事件による死傷者数は、18名にのぼります」(全国紙政治部記者) これら連続強盗には、手口のほかにも共通点がある。SNSなどを通じてつながった匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる「トクリュウ」が闇バイトとして募ったメンバーが犯行に及んでいるのだ。 「後藤さんを殺害した容疑で10月19日に逮捕された宝田真月(まづき)容疑者(22)は、神奈川県警の取り調べに『日給15万円以上』の好条件に釣られてSNS上で闇バイトに応募したと供述しています。練馬区での強盗で逮捕された遠藤峻輝容疑者(22)も闇バイトがきっかけだと話している」(全国紙社会部記者) 闇バイトと言えば、’22年から’23年初頭にかけて「ルフィ」を名乗る指示役が実行犯を操って起こした連続広域強盗が記憶に新しい。だが、今回の連続強盗はルフィグループによる犯行と「決定的に違う点」があるという。ルフィグループで、闇バイトのリクルーターを務めていたA氏が明かす。 「ターゲット選びも犯行も、雑で稚拙。ルフィグループは、通信販売業者などが作成した名簿を入手し、そこからさらにアポ電をかけるなどして、ターゲットの資産状況を正確に把握してからタタキ(強盗)をしていた。今回のように件数が多い割に被害金額が一件当たり数十万円程度と小さいのは、ロクに下調べしないで手当たり次第に犯行に及んでいるからだとしか思えない。指示役がよっぽど金に困っていないとあり得ないよ」 闇バイト強盗に詳しい、ジャーナリストの石原行雄氏も同意見だ。 「横浜の事件では粘着テープや手袋を現場近くのコンビニで用意させていて、犯人は防犯カメラにも平気で映り込んでいる。言うなれば『ド素人の犯行』です」 ◆さらなる「被害拡大」も 警視庁は一連の事件に共通の指示役がいると見て捜査を進めているという。別のトクリュウで犯罪に手を染めていたB氏が警告する。 「実行犯は使い捨てだから、指示役が納得する大金が手に入るまでこの状況は続く。高額の被害が出るのが先か、指示役の逮捕が先か。俺がかかわっていたとき、指示役は実行役に『住民と鉢合わせたら何をしてもいい』と強調していた。闇バイトに応募してくるガキは見境がないし、暴力の加減がわからない。もっと深刻な被害が出てもおかしくないね。 知り合いのヤクザも素人を集めて強盗をしているんだけど、今はカタギも金に困ってる奴ばかりだから、実行役なんていくらでも集まると言っていた。無差別強盗はこれからも増えるよ」 実行犯は30名以上が逮捕されているが、指示役と直接の関係がないため、事件の全容解明には結びついていない。希薄なつながりのバイト感覚で繰り返される「足のつかない」蛮行は、歯止めがきかない最悪の状況となっている――。 『FRIDAY』2024年11月15日号より
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