労力減に“葉物”有数産地に成長 販路開拓でJA後押し 群馬・太田市藪塚本町
小玉スイカ「藪塚こだま西瓜(すいか)」で知られる群馬県太田市藪塚本町地区では、ホウレンソウや小松菜の栽培が盛んだ。高齢化などで管理労力の大きい小玉スイカの栽培が難しくなった生産者が、葉物野菜の周年栽培に移行。JA太田市が販売に力を入れ、主要品目にまで成長した。 2023年度の出荷量はホウレンソウ4431トン、小松菜889トン。10年前と比べてホウレンソウで2919トン、小松菜で284トン増えた。 現在ホウレンソウが118戸、小松菜は56戸が栽培に取り組み、生産するハウスの棟数は多い生産者で約200棟に及ぶ。法人化のメリットを生かし、経営規模を拡大する人も増えている。群馬県は22年にホウレンソウ出荷量が全国1位となっており、同市はその中でも上位を誇る。30、40代の生産者も増加。新しい取り組みも積極的にチャレンジし、同地区全体の農業を活性化させている。 藪塚ホウレン草部会の部会長を務める清水勉さん(60)は、ホウレンソウをハウスで1・3ヘクタール、露地で50アール栽培する。30、40代の生産者について、「頑張って結果を出しており、生産拡大に挑戦する人もいる」と感心する。若手の女性の就農も増えているという。清水さんは「今後は若手の地域リーダーを育てていきたい」と産地の活性化を目指す。 「藪塚こだま西瓜」の生産者数は37戸と減少しているものの、全国の知名度は高く、同地区の農業の主軸となっている。ファンも多くおり、前年度は約12万9000ケース(1ケース8キロ)を出荷した。 部会は販路拡大や安定的な出荷のためにJA太田市と協力し、定期的に出荷会議を開催。市場関係者を産地に招き、ホウレンソウや小松菜、「藪塚こだま西瓜」などの作物を中心に密な情報交換をする。 JAは市場でのトップセールスや他県への研修など、高品質生産と販路拡大のための取り組みに力を入れる。最近では長野県や岐阜県の市場の販路を開拓するなど成果を上げている。 JA営農部の塩野和行部長は「現在、藪塚本町地区の耕地のほぼ全域で栽培が行われている。栽培講習会や新たな品種の試験などを通じて、さらなる品質向上のために貢献していく」と意気込みを話した。
日本農業新聞