確かにヒエラルキーを超えている! レクサスLBXのドアヒンジを見れば「新しいラグジュアリーコンパクト」だとわかる
Bセグでこんなドアヒンジ、そうは見られない
筆者が注目したのは、ドアヒンジだ。Bセグメントのコンパクトカーとしては異例の見事な形鋼材のドアヒンジが付いていたのだ。Bセグとしては、ではなく、国産車のほとんどは板金プレスのドアヒンジを使っている。形鋼材、板金プレスそれぞれに採用理由があるから、形鋼材だから素晴らしいわけではない。とはいえ、ヤリスクロスは通常の板金プレス製だったから、レクサスLBXで「わざわざ」ドアヒンジを形鋼材に変更したわけだ。 尾崎さんに訊いてみた。 ドアヒンジがヤリスクロスと違います。通常、そういうこと、しないですよね? 「しないですね、ハイ。このクルマのボディを達成するためです。このクラスでは珍しいですよね」 こんな立派なBセグのドアヒンジ、見たことないです。 「そういう細かいところに気づいていただけて設計の人間としてすごくうれしいです。見ただけでもクラスが違うという感じがしますし、それは性能にも現れます。剛性も、ドアの開閉音も。とくに ドアを閉めたときの音、そういったところすべてに効いてきます。たぶん、お気づきかもしれませんが、レクサスLBXは、このクラスではドアの閉まり音、開閉の感覚がいいと思います」 確かにそうなのだ。レクサスLBXのドアの閉まり音や感触、ドライバーズシートに腰を下ろしてドアを閉めたときの、隔絶感。そこがいいのだ。 尾崎さんは続けて説明してくれた。 「ドアの閉まるフィーリング、音の検討をすごくしました。ドアパネルの剛性やヒンジ、ウェザーストリップ……最初の所作で安っぽく感じてしまったら、LBXとしてはダメなのです。しかし、そこをLSのようにあまり重厚になりすぎると、クルマとしての軽快さが損なわれます。LBXを見たときに、ドアの開閉で感覚的に引っかからず、すーっといけるのが調度良い。ここに、『んん?』というひっかかりがあると、人によってはネガな方向に行くこともあります。ドアの開閉、閉まり音、閉めたあとの静粛性……というところに引っかかりがないようにするのが一番バランスが良いのです」 じつに細かいチューニングをレクサスは行なっている。それは、もっともコンパクトなLBXにも貫かれている。「サイズのヒエラルキーを超えたクルマ」なのは、細部からも滲み出ているのだ。
鈴木慎一
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