少なくとも太陽系には、他に例がない…水の惑星「地球」は「プレートの形成」と切っても切り離せなかった、という衝撃の事実
私たちが暮らす地球は、豊かな恵みを与えてくれるいっぽう、地震、火山噴火などの大きな災害をもたらすこともあります。こうした大地の性質を「地質」といい、これを研究する学問が「地質学」です。 【画像】海と陸はこうしてできた…地球の成り立ちを証言する石 地球はおもに、マントルなど基礎をなす部分に多い「橄欖岩(かんらんがん)」、海洋の近くで多く見られる「玄武岩」、大陸をなす「花崗岩」の三つの石でできているといいます。 これまでの記事で、地球の誕生時におけるドラマを、地球の8割を占める橄欖岩の成り立ちを通してみ見てきました。今回は、いよいよプレートの誕生を見てみます。 *本稿は、ブルーバックス『三つの石で地球がわかる』の内容を再構成してお送りします。
硬軟2枚の岩板からなるプレート
現在の地球は十数枚のプレートに表面を覆われています。このようなプレートはいつ、どのようにしてできたのでしょうか。 プレートとは地殻と、マントルの上部からなる厚さ100kmほどの岩板です。地球物理学的に見ると、マントルの軟らかくなった「アセノスフェア」の上に、硬い「リソスフェア」ないしプレートが乗っているという構造になっています(図「プレートの構造」)。 アセノスフェアは同じ岩石でも温度が高くなっているために、上の板に比べて軟らかく、その上を硬いプレートがするすると滑っていくというイメージです。先の記事〈北海道にある高純度な「かんらん岩」が「地震の原因」を解明するカギだった…その「衝撃のワケ」〉では、、オフィオライトという岩石が海洋プレートと同じ組み合わせをもつ石であることをご紹介しました。それは玄武岩や橄欖岩が重なったものでしたが、こうした構造のプレートはなぜできたのでしょうか。
プレートのできる様子を彷彿とさせる現象
1974年、ハワイの溶岩湖で、ダフィールドが観察したできごとがあります。 ハワイ島で噴出したマグマが、斜面を下る途中にある大きな孔を満たして、マグマの湖をつくったのです。それはまさに、小さなマグマオーシャンでした。どろどろに溶けたマグマは、やがて温度が下がって表面が固まり、かさぶたのような黒い玄武岩の層をつくりました。そしてその厚さはどんどん増していきました。寒い日に池の表面に氷が張るのと同じようなものでしょう。 マグマの冷却にともなって、厚くなったかさぶたは玄武岩の板のようなものをつくりはじめました。いわばこれが、プレートと考えてよいでしょう。湖の内部からはときおり、熱いマグマが噴き出して、直線状の割れ目ができて(これは中央海嶺のようなもの)、マグマが吹き上げてきて盛り上がり(山脈)をつくります。やがて、冷たくなった表面のかさぶたは、湖の内部に沈み込んでいきました。 これはまさに、プレートの形成と沈み込みの開始という、プレートテクトニクスが起きるモデルを示したものでした。 マグマオーシャンもハワイの溶岩湖と同じです。マグマオーシャンが形成されたときの地球の外の温度はマイナス270℃くらいなので、表面はすぐに冷えて、かさぶたのような岩石の層ができていきます。これが玄武岩とコマチアイトからなる「最初のプレート」だと考えられます。