昭和なら許された、ちょっとスケベなおもしろおじさんになりたいーー「命の授業」に挑み続ける、ゴルゴ松本54歳
「おもしろいくそじじぃに」見据えた次のステップ
ゴルゴは今年54歳。30代で思い描いた「人間力のある50代」への努力は、本人が思わぬ形で実を結んだ。60代からの展望は、と尋ねると、芸人らしくユーモアたっぷりに答えた。
「60歳のときには、もうブルース・リーみたいな体になっていたい。徐々に、鍛えていかないと。まあ、あそこまでカッコよくはないと思うけど。それと、やっぱり“面白いくそじじい”にはなりたいよね。昭和なら許された、ちょっとスケベなおもしろおじさんになりたいね。捕まるかな(笑)。ケーシー高峰さんみたいな、あんな白衣着てやろうかな。ちょっとエロいの、しゃべりが。でも今テレビでは難しいからね。講演ではやったりしてるんだけど」 そのネタが、「母音からの命」。あいうえおは、母の音と書いて母音(ぼいん)という、と話し、少年たちがどっとウケてからが、本番だ。 「でもね、みんなお母さんから、ボインからおっぱいをもらって生まれていくんだよ。このおっぱい、母乳は、お母さんの体の中に流れている血液だから、覚えておけよ、って。母乳は白いけど、もともとは赤い血液なんだぞ、ってね」 ちょっとスケベでおもしろい60代になっても、ゴルゴにとって「命の授業」は、使命であり続けるのだろう。
--- ゴルゴ松本(ゴルゴ・まつもと) 1967年、埼玉県生まれ。お笑いコンビ「TIM」のボケ担当。相方はレッド吉田。「命」「炎」など、体を使った一文字で表現するネタが有名。2011年からボランティアとして少年院でのボランティア講演を続けている。「命の授業」と銘打ち、人文字ギャグ同様、漢字を分解したり、足したりして、人生訓をわかりやすく説明している。著書に『あっ!命の授業』、『ゴル語録:命を磨くための50の言葉』など。今月、『「命」の相談室―僕が10年間少年院に通って考えたこと』(中央公論新社)が発売されたばかり。