昭和なら許された、ちょっとスケベなおもしろおじさんになりたいーー「命の授業」に挑み続ける、ゴルゴ松本54歳
「命!」の体文字ギャグで一世を風靡した、お笑いコンビ「TIM」のゴルゴ松本(54)。独学で積み上げた歴史の知識とユニークな漢字解釈が評価され、10年前から日本中の少年院で「命の授業」と題した講演をライフワークとして続けている。しばらく実施できなかった「命の授業」もこの秋再開し、「コロナ禍のなかで送致された子どもたち」の前に立った。そんなゴルゴ松本が選ぶ、「今年の漢字」一文字とは? (取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル特集編集部)
およそ2年ぶりに再開した「命の授業」
コロナ禍は、芸能人たちから多くの仕事を奪った。TIMのゴルゴ松本も類にもれず、1年以上の間、スケジュールには空白が目立った。これまで30回ほど開催しライフワークとして続けている少年院での講演活動が再開したのも、前回から1年10ヶ月が経った、今年11月のことだ。 「ようやくね。緊急事態宣言が終わってそろそろできるかな…と考えていた頃に、法務省から依頼が入ったので、行ってきました。行くとね、やっぱりみんな子どもなんだよ。伸び盛りの時期、親にご飯をちゃんと食べさせてもらっていない子が多いから、4、5歳くらいは幼く見えるんだよね……。今回、僕の話を聞いてくれたのは、コロナ禍の間に送致されてきた子たちなんです。罪状の問題だけじゃなくて、家庭に帰さない方が望ましいと家庭裁判所で判断されている場合もある。でも、みんな元気でしたよ。マスクはしてますけど、目の色を見たらわかるんです。少年院できちんと3食、食べているのもあると思いますね」
規定の講演時間は90分。いつも延長してしまうが、子どもたちは皆最後まで楽しそうに聞いてくれる、とゴルゴは笑顔だ。台本は特に作らない。漢字とその解釈は、いつでもスラスラ出てくる。 「みんなちゃんと聞いてます。聞くっていうより、僕は逆に質問から入っていくの。好きな食べ物何?だとか。ラーメン好きな人、何ラーメンが好き?って。みそラーメン、塩ラーメンって挙手させる。で、発言させる。そこから出てきたフレーズやキーワードから、漢字の話をしたりね」