日本画の最高峰「院展」元理事が告発「理事会に“盗作作家”の濡れ衣を着せられた」「偶然構図が似ただけなのに」
名誉を回復させて再び絵を描きたい
そして直後に開かれた理事会で、理事解任相当と1年間日本美術院が主催する展覧会への制作品の出品停止処分が決定されたのだった。 昨年5月10日に日本美術院のホームページでも発表された処分内容は今も確認できる。下記は処分理由とされた文言だ。 〈梅原氏本人は明瞭に否定されているものの、当院としては、結果的に他人の作品に類似していると判断したことを理由とする〉 「これを見ればわかる通り、結果的に似ている絵を描いてしまったと言う理由だけで私は処分されてしまったのです。言い分を最後まで聞いてもらえず早々に幕引きされて、公表までされた」 それから地獄のような日々が始まったと梅原さんは振り返る。 「公表された処分理由には盗作した、模倣した、参考にしたとは書かれていませんが、事情を知らない人が読めば『他人の作品をパクった』と受け取れる文章です。この業界は非常に狭い。瞬く間に『盗作作家』という不名誉な評価が広まり、私が40年かけて築き上げてきたキャリアは崩壊しました。予定していた展覧会は中止され、誰も絵を買ってくれなくなり、依頼されることも無くなった。何より私自身が絵を描く気力を失ってしまいました」 すでに1年間の出品停止処分は解かれているが、元の生活に戻ることはないという。 「今も私は同人の地位にいますがもはや名ばかりのものです。周囲の態度もこの件があって以降豹変してしまった」 納得ができなかった梅原氏は、処分が出た直後の昨年6月に日本美術院に処分の無効と約300万円の損害賠償を求めて東京地裁で提訴。國司氏に対しても名誉毀損訴訟を起こした。 「お金が欲しいわけでもない。私は他人の作品を真似たことはないと白黒ハッキリさせたいのです。そして名誉を回復させて、再び自信を持って絵を描きたい。それだけが今の望みです」 日本美術院と國司氏に取材を申し込んだが、いずれも「裁判係争中のため取材には応えられない」との回答だった。 後編【「37年前『写真パクリ騒動』を起こした画家に私を裁く資格はあるのか」日本画の最高峰画壇「院展」から“盗作疑惑”をかけられた元理事の怒り】では、倫理委員会のメンバーの中に「信じがたい人物」が含まれていたことについて伝える。 審議の場にはかつて新聞テレビに追い回される騒動を起こし、藝大から追われた画家が座っていたのである。 デイリー新潮編集部
新潮社