卵だいすき! 福岡県飯塚市で鶏の平飼いに挑む「ママ農場長」の夢
「知らない」をなくしたい!
3月からスタートした新ブランド「あかねの虜」は、周辺の呼び名「あかね」と「鶏の子」「味の虜になって」との思いから名付けたそうです。 養鶏場を支えているのは、外国人技能実習生を含む6人です。昨年末から勤める嘉麻市の衛藤黎生(れお)さん(22)は「職場の雰囲気がよくて刺激も多い。農場長をしっかりサポートしたい」と話します。山﨑さんは「おいしい卵と言えば『あかねの虜』と思ってもらえるよう、皆と一生懸命、駆け上がりたい」と話します。 平飼いの鶏は日本では数%とされます。「日本は世界でも卵の消費量が多いのですが、平飼いの卵は一部の人しか買っていません。飼育方法やおいしさなどの違いを実感して選んでもらえるように取り組み、平飼いを『知らない』をなくしたい」 一方で、家庭との両立で抱える葛藤も。多忙だった今春は、農場に泊まり込む日が続き、久しぶりに帰宅した翌朝、長女に「行かないで」と止められたそうです。「夫や長男が『ママに気持ちよく仕事に行ってもらおう』となだめてくれて……。泣きながら農場に向かいました」 今年3月には、違った涙も。長男の保育園の卒園式で、制作物の「おおきくなったら…になりたい」の欄にあった「たまごやさん」の文字を見て、「(そんなふうに)見ていてくれたんだ」と胸が一杯になったそうです。 「長所は『夢中になれること』」と言う山﨑さん。気持ちがぶれてしまいそうなときは、価値観をまとめた“マップ”で考えを整理します。鶏と、もちろん家族も大事に――。ママであり、養鶏家。葛藤とも闘いながら、たくましく夢を追い続けます。
◆グランドハイアット福岡で”平飼い卵”のアフタヌーンティー
ホテル「グランド ハイアット 福岡」(福岡市)は4月から、「あかねの虜」を一部の料理に採用。5月からは“卵が主役”という異例の企画「エッグリシャス アフタヌーンティー」を展開しています。 卵液に1日浸して焼き上げたフレンチトーストや、卵黄とカラメルソースを混ぜて味わうミルクプリンといったスイーツや軽食など計10種類のフードと、紅茶やコーヒーなど15種類のドリンクを提供しています。 「エッグリシャス アフタヌーンティー」は6月末まで。広報担当者は「ストレスフリーの鶏が産んだ卵の格別なおいしさが味わえる」とアピールしています。 なお、同ホテルでは今後、使用する鶏卵を全てケージフリーのものにしていく方針。担当者は「欧米を中心にアニマル・ウェルフェアは重視されている。今後もこうした取り組みを進めていきたい」と話しています。
読売新聞