世界一で大フィーバー…手にした破格の臨時ボーナス 年収の1.6倍、一変した台湾選手の環境
日本との決勝では元NPBの張奕、陳冠宇が無失点投球
スーパーラウンド初戦のベネズエラ戦は惜敗したが、決勝進出のためには負けられない米国戦は8-2で勝利。年齢制限のない大会では2003年の野球ワールドカップ以来21年ぶり、五輪、WBC、プレミア12の主要3大大会で初めて米国から白星をあげた。 決勝前日、11月23日の午後の試合で、米国がベネズエラに勝利。夜の試合を待たずTQB(得失点率差)で、日本と台湾の決勝進出が決定した。「消化試合」となった夜の直接対決は初回に4失点を喫し6-9で敗れたが、食らいついた。 決勝は“スライド先発”のリン・ユーミン投手(ダイヤモンドバックス傘下)が4回1安打無失点。5回に巨人の右腕・戸郷翔征投手から、林家正捕手(ダイヤモンドバックス傘下)がソロ、陳傑憲選手が3ランを放ち、一挙4点を挙げた。 5回からは、約1年前に肩の怪我の影響もあり西武を戦力外となり、日本に家族を残し台湾へ渡り、無給の練習生期間を経て富邦入りした張奕投手が、3回を振無失点。「実力を証明したかった」という言葉通りの熱投を見せると、8回は代表最年長・陳冠宇投手(楽天モンキーズ)が気合の入った投球で3者凡退。いずれも日本で長年プレーし、思い入れも深い2人が、4イニングを無失点に抑え、勝利を手繰り寄せた。 9回に登板した林凱威投手(味全ドラゴンズ)は、高校時代の2014年、U18アジア選手権(タイ)の日本戦で先発。好投しながらサヨナラ負けを喫した。1死一塁の場面で巡ってきたのは同大会でも対戦した栗原陵内野手(ソフトバンク)だった。栗原が引っ張った打球は一塁線への強烈なライナーだったが、ファーストの朱育賢内野手(楽天モンキーズ)のミットへ。朱はすぐにベースを踏みダブルプレーとなり、この瞬間、台湾代表の世界一が決まった。
「パ・リーグ インサイト」駒田英