世界一で大フィーバー…手にした破格の臨時ボーナス 年収の1.6倍、一変した台湾選手の環境
スーパーR進出で台湾ファンが多数来日…直行便はほぼ完売
下馬評は低かった。代表の主体となるCPBL勢で投打の主力と目されていた複数の選手が怪我やコンディションの問題で選外となり、日米球界でプレーする「海外組」も球団の意向や球数制限などで、2人しか招集できなかったからだ。10月7日の代表発表記者会見で、曽豪駒監督(楽天モンキーズ)は選出の基準として「出場意志」「コンディション」「データ」を挙げたが、ファンからは悲観ムードが漂った。 印象が変わったのは、直前まで台湾シリーズを戦っていた主将の陳らが合流した10月末の2次合宿スタート後だ。陳は「ナショナルチームのユニフォームを着て、台湾を代表し戦える事を誇らしく思う。東京を目指し、全員が100%の力を発揮する」とく宣言した。 鍵となった試合を1試合あげるとすれば、エース格のリン・ユーミン投手(ダイヤモンドバックス傘下2A)を先発に立て、必勝体制で臨んだオープニングラウンド初戦、11月13日の韓国戦だろう。陳は今季、リーグ2位の打率.334を残したものの、シーズン後半から不振に陥り、壮行試合も調子は上がらなかった。しかし、3番で先発起用されると、4点リードの2回に右越え2ランを放った。陳はこの日3打数2安打1四球で完全復調。重要な初戦を6-3でモノにした台湾は、翌14日のドミニカ共和国戦も2-1で勝利。最高の滑り出しを切った。 その後、日本には敗れたものの、豪州戦は元西武の郭俊麟投手(統一)の粘りの投球もあり、大勝してスーパーラウンド進出を決めた。オープニングラウンド全5試合を4勝1敗。毎試合3失点以内に抑え、防御率1.80は全12チームでトップ、ホームラン6本はグループBで豪州と並びトップタイだった。 スーパーラウンド進出を受け、急きょ、東京ドームを目指すファンも続出した。その数は数千人にのぼったとみられ、東京行きの直行便はほぼ完売。日本の他の空港を経由したり、香港を経由したりしたファンもいた。国会議員でもあるCPBLの蔡其昌・コミッショナーは、航空券が購入できないというファンの声を受け、航空会社に運航機材の大型化を要請。座席確保に奔走した。