インドに「ブラック企業」は存在するのか、「労基署」との意外な関係は?…日本人には信じがたい「インド人の働く環境」
もしも仕事で失敗したら…
ーー最近のニュースで、サムスンのインド工場でのストライキが話題になってました。こういった労働者の抗議運動は、インドではよくある話なのですか? 民間企業や日系企業でストライキが行われているイメージは、正直あまりないですけどね。ただし選挙のたびに農スト(農民ストライキ)はやってます。インドは世界一の農業大国で、GDPに占める第一次産業のシェアが高いんですけど、政府に対して農家の方々の不満が溜まってるみたいです。ストライキの一環で、道路や鉄道をトラックで塞ぐんですよ。 ちなみに農民の方は「金がない。金がない」って騒いでますが、スト用にトラックを購入している噂話もあったりして……。何が本当かはわかりませんが、どちらにせよ日本では考えにくい行動ですよね。自己主張は強いのかもしれません。 ーーそれだけ自己主張が強い感じだと、もし仕事などで失敗した時は、かなり厳しく責任を追及されるのでしょうか? それは大丈夫です。インドは日本と異なり、失敗しても許される文化があるので。インド人は仕事の課題や原因を見つけることまではしても、特定の人に責任を押し付けることはしません。誰かを傷つけることはしない国民性なんです。逆に言うと、責任の所在を明確化しません。その結果、同じような問題やトラブルを何度も繰り返すので、ここは管理職としては悩みの種ですね。 ーー仕事をする上では大変そうですが、お話を聞いてる限り、インド人は根は良い人が多そうですね。 そうなんですよ。身近な話だと、ベビーカーを押して街を歩いていると、道行く人が悪気も遠慮も無く「かわいい赤ちゃんですね。抱かせてもらってもいいですか」と言ってきます。日本ではあり得ない、ほっこりする光景ですよね。インド人は女性や子供に対するホスピタリティがものすごく高いので、ここに関しては日本人は見習うべきかもなって。
佐藤 大輝(ライター)