基準範囲内でも動脈硬化のリスクが…「総コレステロール値」は数値ではなく「ココ」を見よ!
毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。 【漫画】くも膜下出血で倒れた夫を介護しながら高齢義母と同居する50代女性のリアル BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。 『健診結果の読み方』連載第22回 『加齢とともに男性は低下、女性は上昇。「悪玉コレステロール」は気にする必要なし? 』より続く
総コレステロール値とは
健診結果をよく見ると「総コレステロール値(T-chol)」という項目が入っているかもしれません。もしそうなら、その前か後に「LH比」という項目も入っているはずです。 職場健診や特定健診の必須項目ではないため、入っていないからといって、あまり気にする必要はありません。 総コレステロール値とは、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪の3項目から計算する値で、血中コレステロールの総量とされています。コレステロールには、HDLとLDLのほかに中性脂肪と関係しているVLDLDというものがあります。
総コレステロール値の罠
ただしHDLとLDLの量が多いため、総コレステロール値は、この2項目の合計に近い(少し大きい)数字になります。 基準値は次のようになっています。 前項に書いたように、LDLコレステロールの基準範囲は60~119、HDLコレステロールは40以上となっています。仮にLDLが80、HDLが40とすると、合計は120となり、総コレステロール値は130前後になるので、低いほうの要注意となります。 またLDLが110、HDLが90だったら、合計は200となり、総コレステロール値は200を超えた数字(高いほうの要注意)になります。 つまりLDLとHDLが基準範囲だとしても、総コレステロール値が要注意になることもある、ということです。 総コレステロール値が高いと、脂質異常症のほかに、甲状腺機能低下症や下垂体機能低下症によるホルモン異常の可能性が考えられます。逆に低すぎると、栄養不足か、甲状腺機能亢進(こうしん)症(バセドー病など)の可能性が出てきます。 臨床上は、総コレステロール値が低いほうが問題とされていますから、139を下回るひとは、内分泌科や血液内科を受診したほうがいいかもしれません。