2024年は日本映画が躍進 映画評論家が選ぶ2024年のベスト3 『ルックバック』などを選出
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山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』や、宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』のオスカー獲得、さらに劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』の興行収入が150億円を突破するなど、明るいニュースが目立った2024年の映画界。ゴールデングローブ賞の投票権を持つ映画評論家・松崎健夫さんに“2024年に公開された映画ベスト3”を選んでもらいました。 【画像】映画評論家・松崎健夫さんが2023年に選んだ映画ベスト3
■単なるディザスター映画ではない “防災意識を高める”映画『ツイスターズ』
松崎さんが1つ目に挙げた映画は『ツイスターズ』。過去にトラウマを持つ主人公・ケイトや、竜巻の様子を生配信する“竜巻チェイサー”のインフルエンサー・タイラーたちが、巨大竜巻に立ち向かっていく物語です。 「この映画は竜巻の研究をする科学者の話なんですよ。竜巻が襲ってくるというよりは、竜巻にわざわざ向かっていくという話。特に日本は2024年も地震や台風の被害があって、災害に遭いやすい国だと昔からいわれているからこそ、この映画で描かれている“災害に対して我々がどう考えなければいけないか”とか、“科学的になにかそれを減らしていく方法がないか”とか、防災意識を高めるという意味でもこの映画を見るとすごくいいなと思う」 「ディザスター映画で物が壊れる、竜巻によって建物が吹っ飛んじゃうみたいなことだけ描いている映画じゃなくて、そこに暮らす人々のことをちゃんと克明に描いているからこそ、この映画の根っこを張った設定が我々に響くんじゃないでしょうか」
■話題漫画のアニメ化『ルックバック』 一律料金でも不満が出なかった理由
続いて、2つ目に松崎さんが挙げたのは劇場アニメ『ルックバック』です。『チェンソーマン』などで知られる藤本タツキさんの短編が原作で、漫画を通して出会った少女2人の人生を描く物語です。 「漫画でできる表現とアニメーションでできる表現って違うと思うんですよ。(漫画とアニメを比べて)展開はそのままなのに、細かい表現が“これは漫画だからコマを割って表現できる表現だ”っていうものと、“動画だからできる表現だ”というものの差があって、基本的に原作に敬意を払っているので、あんまり印象が乖離(かいり)していないと多くの方が思ったと思う」 「この映画は60分にも満たない映画だが(当日券の)料金は1700円で一律。昨今、大人の入場料金は2000円になって高いといわれているので、今作でも高いという意見があるのかと思えば、SNSで“高い”って書いているお客さんはほとんどいなかったのが印象的だった」 「つまり(作品への)満足度が高かったということだと思う。観客が望むものであれば、『ルックバック』は興行収入が20億円もいっているので、なにか興行の在り方みたいなものを見直すきっかけになるんじゃないかなと僕は感じています」